コロナで売上が減少に転じたが…
会計では、売上高を「企業が主たる営業活動によって得た代金の総額」と定義します。
別の言い方をすると、売上高は企業の提供する商品・サービスがどれだけ支持されているかを計るバロメーターであり、顧客がその商品、サービスを利用することで得られるメリットや便益の量、顧客提供価値の大きさを表しています。
どれだけ良い商品・サービスであっても、顧客に受け入れられなければ売上は実現しません。
そして、売上高は、確かに顧客に受け入れられた価値が存在した、という証拠でもあります。
その売上高が、コロナ禍で多くの企業で減少に転じました。
しかし、それは、顧客にとっての価値が、失われてしまったことになるのでしょうか?
アフターコロナビジネスは変革(イノベーション)が必要!
筆者は、まだまだ顧客の要望に応えられていない価値、環境変化によって置き換わった新たな価値があるように思います。
コロナ後の時代のビジネスを検討するためには、自社の顧客提供価値の変化をよくよく分析することが重要であると考えます。
企業は、提供する商品・サービスの内容や、現場のオペレーションを、リアルタイムに顧客の要望や嗜好に適応させる努力をしています。
これを実現するには、現場の理解、たゆまぬ業務改善、それを連携し協力して進める組織体制が必要です。
ただ、この取り組みは、いわば改善レベルです。これだけでは、顧客の要望、嗜好の大きな変化にすべて対応できるわけではありません。
それとは対照的に、生産性向上やイノベーションを他社に先んじて取り組む企業は、顧客の要望や嗜好の理解を通じて、提供している商品・サービスそのものを常に見直し、提供プロセスを変革して、仕組みを再構築しています。
この再構築にはもちろん、顧客提供価値の見直しも含まれます。
新型コロナウイルスがもたらした環境変化は、すべての企業に、業務改善レベルを超えた、変革(イノベーション)による事業の見直しを迫っています。
このピンチは事業再構築のチャンス!
見渡せば、この一年間でビジネス環境は激変しました。
商談や授業のオンライン化、物販の通信販売の拡大や、飲食のケータリング、ホテル・旅館のビジネスユースへの転換など、ニューノーマル(新常態)を見据えた革新的な取組みが次から次へと導入され、逞しさを感じます。
こうしたサービス提供形態の変化の背景に、顧客提供価値の変化の要素がどれほど含まれているか?
このような観点から、先進企業を注意深く観察することで、様々なヒントが得られると思います。
自社で顧客提供価値を改めて評価し直し、新しい価値の提案が求められている、と判断したならば、それは新たな競争優位を創造できる、事業再構築のチャンスです。
現場に入り込んで指導するコンサルタントである筆者も、企業の積極的な事業再構築を支援していきたいと思います。
現在、事業の再構築を目指す企業を後押しするため、
〇新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組みをする中堅、中小企業・団体等
〇事業再編又は、これらの取組みを通じて規模拡大等を目指す中堅、中小企業・団体等
に対して、国は新たな大型の支援策を準備中です。
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 川合 和人
- 1997年 南山大学卒。MBA。中堅・ベンチャー企業の業績管理制度構築や業務改善、経営計画策定、事業再構築等のコンサルティング業務に従事。幅広い分野で経営者、経理責任者の参謀役として活躍中。
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