ピンチをチャンスに変える思考法!~「事業再構築」の可能性を探る

経営

2021年も新型コロナウイルスの猛威に振り回された一年となりました。

変異種の発生に始まり、緊急事態宣言の長期化、ここまで影響が長引く事を誰が予想したでしょうか。

筆者は昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症で苦しむ企業がその影響を抑え、今を乗り切る支援に奔走した一年となりました。

こうした状況下、「事業再構築」に注目が集まっています。

2021年、ポストコロナ・ウィズコロナ時代における、経済社会の変化対応に向け、企業の思い切った事業再構築へのチャレンジを支援する事業再構築補助金が公募された事もその一因です(2021年11月時点で4回の公募が行われています)。

1兆円規模の総予算、補助上限額は100万円~1億円と類を見ない大型政策となっており、日本経済を支える中小企業の環境変化への対応、持続的な経営と成長発展を支援するという強い政策理念が感じられます。

事業再構築補助金をきっかけに、事業再構築にチャレンジしたいという意向とサポートの依頼を多くいただいています。

もともと事業再構築という観点は補助金申請に関係なく経営環境の大きな変化に対応するために講ずるべき戦略の転換、ビジネスモデルの見直しの考え方です。

こうした状況下だからこそ、経営者の皆様には、この事業再構築の可能性を検討いただき、補助金活用も含めた事業再構築実現に向けた議論を進めていただきたいと思います。

そこで、今回の時流解説では、この「事業再構築」をテーマにその可能性を探っていただくポイントを解説します。

ある飲食業で見る事業再構築の成功事例

筆者の支援先で新規のビジネスモデルを企画し、事業再構築の実現に向け取り組んでいる会社があります。

その会社はダイレクトに新型コロナウイルスの影響を受けた飲食チェーンの企業です。

緊急事態宣言による影響は著しく、客数は大幅に減少、全盛期の半分以下にまで売上は減少しました。

他事業に活路を見出そうにも飲食以外のノウハウは有しておらず、状況打開に苦心されていました。

同社は検討を重ね、新型コロナウイルスの収束に期待していては売上回復がいつになるか分からないといった状況下、飲食という主軸はそのままに、自慢のメニューを店舗に来ずとも自宅や遠隔地においても気軽に味わう事ができる新たな飲食提供の仕組みを企画され、それを実行する事を決断されました。

自社の強みを発揮しながらも、飲食業という固定観念に縛られない観点が新たなビジネスを作り上げた成功事例であったと感じています。

同社は弊社サポートのもと、本企画の詳細化を図り中期経営計画を作成しました。

作成した中期経営計画を用い、出資者や金融機関といった利害関係者の賛同を得ると共に、事業再構築補助金に申請・採択され新規ビジネス立ち上げに係る設備資金の確保にも成功されました。

事業再構築実現に向けた経営計画の遂行と併せて、新型コロナウイルスの影響に伴う売上減少を補う新規の販売経路獲得を実現されています。

事業再構築はグレートリセット

本事例を通して、筆者は2021年開催のWEFダボス会議のテーマとなったグレートリセットというフレーズに思いを馳せます。

グレートリセットとは既存の仕組みが崩壊した今、先の未来を生きるための新たな仕組みを整備する事といえます。

リモートや、在宅勤務など、コロナ前の時代にここまで浸透するとは誰が予想したでしょうか?

既に社会に新たな仕組みが形成されつつあるのです。

危機的な環境下だからこそ、社会や人々は新しいモノやコトを受け入れる事に寛容となっています。

今までの当たり前を疑い、新たな可能性を模索する時代が来たのかもしれません。今だからこそ掴めるチャンスが必ずそこにあるはずです。

事業再構築は会社経営におけるグレートリセットといえます。

ビジネスの世界においても新しいモノやコトを企て展開していく必要がある時代なのかもしれません。

ただし注意すべき点として事業再構築とは、無作為に今までと全く異なる事を企てるという意味ではないという事です。

既存の事業と異なる事に大胆にチャレンジすれば良いというわけではないのです。

現在の経営環境を見つめ、既存事業のリスクを読み解き、新たな事業でいかに自社の強みが発揮できるか、経営資源の有効活用ができるか、そこに市場価値が成立するかどうかを検討する事が最重要です。

事業ドメインで考える事業再構築の可能性

変化を起こす事は並大抵な苦労ではありません。

その変化が大きければ大きいほど資金的にも精神的にも大きな負担を強いられる事となります。それは人も会社も同じです。

大きな変化をいきなり求めるのではなく、既存の経営資源を活用し何ができるのか、何を変えられるのかを検討する事が重要です。

その際、WHO・WHAT・HOW(事業ドメイン)3つの組み合わせで事業再構築の可能性を模索してみる事をお勧めしています。

【WHO】誰に商材を売り込むのかの観点

  • 既存事業がBtoBであればBtoCに対して売り込む事はできないか?
  • 自社商品が他業界でも採用される可能性はないか?
  • 若者向けではなくシニア層向けに訴求対象を変更してみたらどうか?

このように流通経路や業界・顧客セグメント別に可能性を模索してみることも有効です。

【WHAT】何を商材として売り込むのかの観点

  • 現在有する商材・技術・人財・ブランドと親和性の高い、新たな商品やサービスを製造・提供できる可能性はないか?

モノからサービスへの転換可能性、他業種・他業態商材への転換可能性、一見無関係に見える商材が自社でも展開可能かもしれません。

【HOW】どのようにその商材を生産し販売するかの観点

  • デジタルを用い生産販売のプロセスの自動化や効率化を行う事ができないか?
  • 各種販売促進施策はもちろんのこと、直販なのかWEB販売なのか、売り切りなのかサブスクリプションなのか?

このように販売形態を見直す事ができないかといった観点です。

求められる事業再構築は会社によって新商品開発かもしれませんし、生産方法の刷新、販売方法の転換なのかもしれません。

最後に

今自社に何ができるのか、事業再構築の可能性を検討してみてはいかがでしょうか?

弊社は事業再構築の企画から、その実現に向けた中期経営計画策定、補助金活用まで、事業再構築を実現するためのトータルのサポートを実施します。

事業再構築を検討いただく際は是非ご相談ください。
御社の思いの実現に向け、弊社は全力を尽くします。こちらからお気軽にご相談ください。

本コラムのポイントを動画でも解説しています

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 中小企業診断士 岡田 真
1984年岐阜県生まれ。前職では岐阜県の公的支援機関で補助金や販路開拓支援事業などの中小企業向け施策の企画・管理に従事。中小企業診断士として経営改善普及事業に積極的に取組み、経営計画策定を通した経営革新計画や各種補助金の活用支援の件数は100件を超える。2020年アタックス・ビジネス・コンサルティングに入社し、主に中小企業の事業再生支援業務(事業・財務デューデリジェンス、計画策定、経営財務顧問等)に注力している。現場目線の課題解決と、企業の「やりがい」と「付加価値」への貢献を信条に、顧客からの信頼を得ている。

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