こちらをお読みいただく頃は多くの企業が2023年度の残り1ヶ月を切り、新しい事業年度を迎える時期だと思います。
新年度の計画も立て終わり、スタートダッシュをしていただきたいものです。
さて、そのようなスタートの時に、経営者・経営幹部の皆さまに取り組んでいただきたいことをお伝えします。
それは「やるべきことをやり切りましょう!」ということです。
経営者が重要視していること
経営者や経営幹部の皆さまはご自身の役割を認識され、目標や予算などの達成に向けてたゆまぬ努力をされています。
ただ、そのような中で、もっと取り組むべき重要なことがあるのではないか、あるいはここはもっと掘り下げるべきではないか、と思うような事象が多くあります。
例えば、経営者の皆さまが重要視していることは売上と利益、そして社員の幸せでしょう。
順番はどうあれ、この3つを最大化したい、または目標を達成したいと考えておられます。
やるべきことが曖昧になってしまう原因とは
では、その達成に向けた取り組みを具体化しているかを確認していくとだんだん不明確になり、やるべきことから遠ざかっているというのが私の印象です。
それはなぜでしょうか?
やるべきこと、言い換えるとやらなければならないことが全て想定出来ていないことと、「そこまでやらなくても」という心の緩みがあるからだと感じます。
その結果、あらゆる打ち手(やるべきこと)を想定し、目標達成への行動計画を作ることができないでいる企業が散見されます。
利益の例
一番わかりやすい「利益」で見てみましょう。
売上はまずまずだったのに営業利益が計画を大きく下回ったケースです。
その原因を分析し、次期の営業利益の計画を立て、絶対達成する必要があります。
やるべきことは?
このケースでやるべきことは、
②要因分析から来期の改善テーマを抽出し「誰が・何を・いつまでに」といった行動計画を策定する
③毎月の業績管理資料にあらわれる結果の分析で計画の進捗を管理する
このように書くと非常にシンプルですが、①の分析は業績管理資料(決算書)を見るべきセグメント別に作成し、計画時に意図した数字(付加価値率や各固定費の内容等)と結果(実績)の数字で比較・検討を徹底的に行います。
ここがおざなりな分析に終わると改善すべきテーマ出しが、いい加減なものになりかねません。
ここでキーになるのは、「計画時に意図した数字」です。
これがしっかりとした意志を持って策定されていればいるほど①は正確な分析に繋がります。
そして②の行動計画も①の分析に基づき改善テーマが全て書かれていて、現場が取り組める形にする必要があります。
そして結果を数値化して分析できるようにしてください。
最後に③は月次で②の行動計画と実績をチェックし、達成していなければすぐ打ち手を変えるなど行動を起こしていただきたいと思います。
最後に
2024年度は中堅中小企業にとってどのような経営状況になるのか全く分かりません。
分かっているのは順風満帆などありえないということです。
新年の2カ月間のテーマだけで「震災・戦争・物価高・賃上げや金利上昇・人手不足・円安」など不安要因はいくらでも出てきます。
それでも会社は利益を計上し、社員を守る必要があります。
経営者の皆さまには、ご自身だけでなく、経営幹部や外部専門家を巻き込んで「そこまでやらなくても」ではなく「やるべきことは全てやる」という強い意志で経営を進めていただくことを願っています。
筆者紹介
- 株式会社アタックス戦略会計社 代表取締役会長 片岡 正輝
- 1952年生まれ。アタックス税理士法人の前身である公認会計士今井冨夫事務所に入社。現在は、アタックスグループの統括マネージャーとして、広範囲な知識と豊かな経験という両輪を武器に、経営・財務・会計業務を中心に計画経営の推進、経営再構築、事業承継等のコンサルティング業務に従事、経営者の参謀役として絶大なる信頼を得ている。
- 片岡正輝の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。