愛知県稲沢市の郊外に「おおこうち内科クリニック」という名のクリニックがあります。絶対に「NO」と言わないクリニックとかホスピタリティ―クリニックとして、とみに有名です。
愛知県内の大病院を退職し、今から10年前の2012年に開院したクリニックですが、現在のスタッフの数は、大河内院長先生をはじめ18名にまで成長発展しています。
より驚かされるのは、通院する患者さんの数で、年々増加し、近年では、1日平均150人、多い日は200人、年間では4万5,000人にもなります。
同規模のクリニックと比較すると、その数は3倍から4倍であり、いかに「おおこうち内科クリニック」が地域社会から評価・期待されているかが良くわかります。
場所は、交通利便性の高い、住宅密集地や商業集積地に立地しているならばともかくですが、名古屋駅からは名鉄に乗り換えながら、約1時間の、岐阜県境にあるクリニックですから、なおさらです。
「おおこうち内科クリニック」が、多くの患者さんに評価・期待されているのは、院長である大河内先生の優れた医療技術もさることながら、大河内先生や全スタッフの心優しい人柄・接客姿勢にあると思います。
ちなみに、大河内先生は、世界最高水準のアメリカの糖尿病学会(国際学会)で、15年連続で研究発表するほどの方で、この分野の第1人者の先生なのです。
誰にでも心から優しく接してくれる大河内先生の人柄は、自分自身の幼少の頃の体験からと思います。小学校4年生の頃、大好きな祖父の死や自分自身が大病を経験しているのです。
その時、献身的に治療・看病をしてくれた優しい医師がいたのです。そうした実体験が、「大人になったら医師となり、苦しんでいる人々を、一人でも多く助けてあげたい…」と。医師を志すきっかけでした。
医師の世界は、能力もそうですが、特別の世界であり、両親や叔父・叔母などが医師であるという人が、なっているケースが大半なのですが、大河内先生は、父親が、自動車部品の下請工場に勤める、いわゆるサラリーマン世帯の子供でした。本当に頑張ったと思います。
ですから、大河内先生がモデルとなっているようで、18名全スタッフ優しいのです。よく「病は気から…」と言いますが、おそらくこのクリニックに入っただけで、病気が快復・改善する患者さんもきっと多いと思います。
詳細はこの紙面では触れることができませんが、「自分が患者さんだったら…」「自分が患者さんの家族であったら…」という、クリニック志向・自利志向ではなく、患者さん志向・利他志向なのです。
先日、機会があって訪問させていただいた折、数枚の写真を見せていただきました。その写真は、雨合羽をびしょ濡れにしながら、あるいは頭に雪が積もった姿で患者さんに傘を差しだし、お出迎えをしているスタッフの写真でした。「よくぞここまで…」と感動・感嘆・感銘しました。
関心がありましたら、同クリニックのホームページを見ていただきたい。
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筆者紹介
- アタックスグループ 顧問
経営学者・元法政大学大学院教授・人を大切にする経営学会会長 坂本 光司(さかもとこうじ) - 1947年 静岡県生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部・同大学院教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、法政大学大学院静岡サテライトキャンパス長等を歴任。ほかに、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員長等、国・県・市町村の公務も多数務める。専門は、中小企業経営論、地域経済論、地域産業論。これまでに8,000社以上の企業等を訪問し、調査・アドバイスを行う。