”地球2.8個分”この数字が表すものとは?
「もし、世界中の人が、今の日本と同じような生活をした場合地球2.8個分の自然資源が必要になる」
この数字は環境保護団体WWFジャパンが消費による環境への負荷を数値化したものと言われています。
アメリカの生活スタイルだと5個、全世界で見ても1.7個必要になります。
すでに地球資源は枯渇状態です。
皆様はこのことをどのように感じられたでしょうか?
これからは、経済成長の代償として多くの社会課題を残したこれまでの資本主義の功罪を理解し、新しい資本主義の形を共に模索する必要があります。
日本の「サステナビリティ経営」における問題点と解決策
問題点
先日、国際環境NGO団体の職員と意見交換した際に日本におけるサステナビリティ経営に関する問題点として3つ指摘されました。
②日本の環境問題への対応が遅く、能動的な取り組みが不足している
③既にサステナビリティ経営に舵を切っているが適切に伝わっていない
解決策
これらの問題に対する解決策として、次の点を挙げていました。
②環境問題への能動的な取り組みについては、NGO活動の増加率や活動件数を注視し、規制やルールの予測に努めることが求められる。能動的なアクションによって事前に問題に対処することも可能
③サステナビリティ経営に取り組む企業は、活動内容や目標の公表、KPIの推移など、データに基づいた情報をステークホルダーと共有し、コミュニケーションを強化することが求められる
一方で、日本には世界に引けを取らない要素も多く存在します。
例えば、「もったいない」や「近江商人の三方良し」の価値観、高い教育レベルなどです。
特に25歳以下の世代、いわゆるZ世代は、教育でSDGsに関する知識を得ており、今後の日本の変革に貢献する可能性が高い存在です。
将来の世代にこの地球を、この日本を良い形でバトンを渡すためには「サステナビリティ経営」が今まさに求められています。
「サステナビリティ経営」とは?
企業のサステナビリティへの対応は、従来のCSRや慈善活動とは異なり、経営の根幹に位置づけられるべきものです。
気候変動や人権問題を含むサステナビリティ課題に対応しない企業は、社会的に評価されず、取引先や労働市場からの支持を得ることが難しくなり、結果的に事業継続が危ぶまれます。
これらの社会課題に対応し、環境、社会、経済のバランスを崩すことなく成長する経営を「サステナビリティ経営」と呼びます。
環境・社会・経済の位置関係をピラミッド構造で例えると土台に地球環境、中心に地域社会、一番上に経済(自社)が位置付けられます。
地球環境は土台なので、環境が崩れればその上の社会も経済も当然崩れてしまいます。
これまでの資本主義では「環境・社会」と「経済」は結果としてトレードオフの関係であったと言えます。
しかし、利益第一主義の思想は終焉を迎えました。
「環境」「社会」に配慮し「経済」とトレードオンの会社のあり方を求める経営、それが「サステナビリティ経営」です。
「サステナビリティ経営」の方程式
「サステナビリティ経営」の方程式は、環境負荷の軽減と新たな価値創出の両面で捉えて「機会損失の回避」と「利益増加の機会」を推進することです。
特に注意が必要なのは「機会損失の回避」です。
この文脈での機会損失の回避とは
- 環境負荷の高い製品の市場流出による企業評判の低下による売上減リスクの回避
- 資源枯渇による操業停止リスクの回避
- 資源枯渇による材料等調達コスト増の回避
- 環境破壊につながるという企業評判回復コストの回避
などです。
「機会損失回避による効果」+「利益増加額」の総和>「サステナビリティ経営」へ投資額
となるように将来に向けた投資を検討していくことが重要です。
特に、機会損失回避による効果を見落とさないようにご留意ください。
「サステナビリティ経営」を実践する次世代経営者たち
中小企業の経営においては、コスト増加や取り組みの難しさについての懸念があるかもしれません。
しかし、地球と社会は既に持続不可能な域に達しています。
自社だけでは変えられないことも多いかもしれませんが、変革に挑戦し、社会に貢献する会社は価値ある存在となります。
筆者が運営する経営者・後継者向けの「アタックス社長塾」では10年間の経営計画である「価値創造計画」を策定し、プレゼンテーションを行う機会を提供しています。
最近では、多くの中小企業の経営者・後継者が「サステナビリティ経営」を強く意識し、経営理念、ビジョン、戦略の見直しを行っています。
これからの10年、20年を見据え、自社の在り方を検討し、経営計画を策定する傾向が強まっています。
計画の例をあげますと
- 回収、分解、再生のサーキュラーエコノミーへの事業変革
- 日本の文化・食を守り食料自給率を高める挑戦
- 人的資本で競争優位性を築く事業モデルへの変革
- Made in Japanの高品質・高サービスの海外への展開
- 建設業から地域の課題解決業への変革
など枚挙にいとまがありません。
社会への要請に応え、社会価値を創造するために、中小企業も積極的な取り組みが求められています。
「サステナビリティ経営」の実践
サステナビリティ経営を実践するためには、環境変化を考慮しつつ、機会損失の回避策を講じ、事業機会を探求する必要があります。
そのためにはまず、自社の長期目標を設定し、どのようなビジネスモデルを通じて社会課題を解決するかを検討することから始まります。
企業は、これらの計画を実行し、取り組みを広く発信し、多様なステークホルダーの共感を引き寄せ、信用力向上と資金調達の円滑化に取り組む必要があります。
長期的な視点を持つストーリーテリングは、持続可能な成長の基盤を築く重要な要素です。
挑戦による失敗も、後にストーリーになります。
「サステナビリティ経営」への道
「サステナビリティ経営」への道のりは長いかもしれませんが、小さな一歩が大きな未来に繋がることを信じ、「サステナビリティ経営」への一歩を踏み出してください。
これから先の選択肢は大きく分けると3つあります。
- 環境や社会が限界を超えるまで今のまま成長を目指す
- ルールや規制に従って事業を継続する
- 未来に向けて主体的に「サステナビリティ経営」へ転換する
皆様はどの道を選びますか?
アタックス社長塾のご案内
アタックスグループでは、経済と環境・社会の両立を目指す「強くて愛される会社」に向けた支援を行っております。
「強くて愛される会社」の考え方を体系的に学びながら、自社の「価値創造計画」を策定する経営者育成支援として、「アタックス社長塾」を開講しております。
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