話す目的を達成するために重要なこととは
日本話し方センターのベーシックコースや2日間集中コースでは、話し方のみならず、コミュニケーションに関するスキル全般を身につけていただいています。
講義の中には、『挨拶の大切さ』や『ポジティブな心を持とう』など、一見、話の仕方とは関係がないと思えるものもあります。
それらの講義テーマの中心にあるのが『良い人間関係を作る』ということです。
日本話し方センターでは、『良い人間関係を作る』ことを非常に重視しています。
それは、いくら話の仕方が上手くなっても、聞き手から嫌われていたり、良い印象を持たれていなかったりすると、せっかくの話も相手に聞いてもらえないからです。
話す目的は、聞いている人に自分の話に共感してもらう、場合によっては、話した通りに動いてもらうことです。
人間関係が良くないと、この目的が達成できません。
従って、『良い人間関係を作る』ことは、コミュニケーションを取る上でとても大切なことなのです。
では、良い人間関係を作るにはどうすれば良いのでしょうか。
自分の行動に気を配る
例えば、ある部長が朝礼などで、「仕事に関することは、どんなことでも自分事として捉えよう!」と繰り返し言っているとします。
しかし、その部長が、部下がお客様とのトラブルで困っているのに知らん顔をして声もかけないとしたら、その部のメンバーはどう思うでしょうか?
「なんだ。自分事として捉えようなんて言ってるけど、口先だけで本当はそんなこと考えてないんだな」と思い、部長の言うことに聞く耳を持たなくなるでしょう。
人は、話していることと実際の行動が矛盾している人のことは信頼しようとしません。
従って、その人の話は真剣に聞きません。
部下が自分の態度をどう思うかが重要
上の例で言えば、部下のトラブルに知らん顔をしている部長は、自分事と捉えていないと思われて当然なのです。
ひょっとしたら、部長はその部下が自分でトラブルを解決することを期待して何も言わずにいるのかも知れません。
しかし、それは部長の独りよがりです。
部のメンバーが部長の態度をどう思うかが重要なのです。
このように、話はその人の日頃の行動と一致していて初めて聞いてもらえます。
しかし、必ず話した通りに行動することは、実際には難しいことです。
では、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
時間を守る
1つ目は、時間を守ることです。
当たり前のことと思われるかも知れませんが、案外できていない人が多いのです。
例えば、皆さんの周りで会議にいつも5分遅れてくる人はいませんか?
そういう人は、5分くらい遅れても自分は時間を守っていると思っている可能性が高いです。
しかし、時間通りに着席している人は5分間、自分の時間を奪われているのです。
待っている間イライラしているでしょうから、平気な顔をして5分遅れて入ってきた人を信頼する気にはなれないでしょう。
この例のように、人に信頼されるためには時間を守ることは必須事項と言えます。
約束を守る
2つ目は、約束を守ることです。
先に述べたとおり、自分の言ったこと全てを言った通りに行動するのは、中々難しいものです。
また、言ったことがそれほど重要なものでなければ、その通りに行動しなくても、他の人はさほど気にしないでしょう。
しかし、約束したことを守らないと、人は間違いなくその人に不信感を持ちます。
逆に、約束したことを必ず守る人であれば、他の人はそれだけでその人を信頼します。
特に仕事に関する約束、お金に関する約束は人の記憶に残るので必ず守るようにしましょう。
社会的な活動をする上で、時間と約束は常に人が意識するものです。
これらを確実に守ることで他の人の信頼が得られます。
そうすることで、話を聞いてもらえる人間関係が築けていくのです。
良い人間関係の作り方を学びましょう!
日本話し方センターでは話し方だけでなく、コミュニケーション全般を対象としたカリキュラムで話し方教室を展開しています。
話の聴き方、話す態度、発声の仕方など、コミュニケーションに関するあらゆる側面から必要な講義を行い、実習でご指導しています。
筆者紹介
- 株式会社日本話し方センター 代表取締役社長 中小企業診断士 横田 章剛
- 1983年 神戸大学卒。メガバンクで、国内・海外の勘定系システムの開発、ガバナンス業務、銀行決算・銀行税務の取り纏めなどに従事。2007年 アタックスに入社し、グループ全体の経営企画、総務、経理、法務等の間接部門を統括。2016年、日本話し方センターの代表取締役社長に就任。研修等で話し方の指導に従事。