永平寺の雲水お墨付きのごま豆腐 -有限会社幸伸食品

経営

西浦道明のメルマガ 2021年11月

2014年から、当メルマガでは自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している中堅中小企業をご紹介している。

連載87回目の今回は、福井県吉田郡永平寺町で、豆腐・ごま製造、豆腐料理と豆腐・ごまどうふの販売を行う有限会社幸伸食品(以下、K社)の池クジラぶりを見ていきたい。

K社は1977年、豆腐やごまどうふを扱うメーカーとして事業を始めた。

豆腐については量販店での価格競争が激しく、大手中心に「勝者なき争い」に突入していた。

当社の方針は、いいものを手の届く価格で提供することである。

価格競争に参戦せず、こだわりの商品をこだわりの価格で提供することにこだわり、国内トップシェアを誇っている。

またその商品力は高く評価され、K社の製造販売する「永平寺幸家のごまどうふ」は、モンドセレクション2012での銅賞受賞をはじめ、全国優良ふるさと食品中央コンクールでは4年連続で優秀賞を受賞している。

K社は、ごま豆腐づくりにおいて、食品メーカーの一般常識に反し、原料・素材に徹底的にこだわっている。

水は、井戸を掘り、地下100mの深さから汲み上げた伏流水を用いている。

胡麻は、老舗の胡麻メーカーと共同でオリジナルブレンドの練りごまを開発し、ごまどうふに最も適した香りが高く、コクが引き立つ専用の練りごまを使用している。

本葛は、「みゆき印」と言われる吉野本葛を使用している。

澱粉への精製工程に非常に手間がかかることから「白いダイヤ」と呼ばれる希少価値の高い逸品である。

同業他社には真似のできないこだわりである。

またK社は、2000年、業界の誰もやらなかった、豆腐創作料理のレストランと、永平寺名物ごまどうふ、豆乳スイーツ、ギフトの物販を併設した直営店事業を始めた。

K社が食品工場だけの時は、お客様との接点がなく、お客様の生の声・評価を聴くことが出来ず、次の商品開発をする上で大きな課題となっていた。

直営店を始めて以来、消費者ニーズを直接拾いながら新商品開発に取り組み、お客様とつながることに成功した。

K社は企業理念を「健康と幸せ」とし、健康・ダイエットを意識し低糖質にこだわってきた。

また、高齢社会での嚥下困難者向け食品を、大学・公的研究機関・病院との共同研究により開発してきた。

さらに、世界人口の下位10%が抱える飢餓と、上位10%が抱える肥満の解消に取り組んでいる。

さらに、栄養価の高い廃棄物のおからを、料理やお菓子の材料として再利用を図ってエコに取り組むなど、社会課題に真正面から向き合っている。

K社のお店で働く社員は製造業務も兼務している。

これにより、普段、お客様と接する機会がない社員がお客様視点を持つことができ、そのことで製品開発・改良だけではなく、人財育成や社員の自信や誇りの醸成にもつながり、社員を自律させている。

社員は、お客様に「また食べたい」「もう一度行ってみたい」と感じてもらおうと、感動創りに一所懸命取り組んでいる。

K社は、素材・製法にとことんこだわった結果、その商品は、創業以来、返品ゼロを続けるなどお客様から高い評価を得てきた。

また、福井県永平寺町にある700年以上の歴史と伝統を受け継ぐ禅の道場の永平寺の老師たちの信頼を得、「永平寺やすらぐ禅豆腐」という評価も得ている。

K社は、永平寺の雲水お墨付きのごま豆腐市場(池)のクジラである。

  
  
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筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー
公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)
1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
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