教育投資増だけで会社は変わらない!~“人が輝き会社が変わる”ための教育とは

人材育成

2024年5月10日に雇用保険法が改正されました。
参考:厚生労働省HP

働く方が主体的に学び直しを行った場合、教育訓練給付金の給付率が70%から80%に引き上げられます。

また、同年5月23日の内閣府経済財政諮問会議においても、“女性、高齢者、就職氷河期世代等を含む全世代を対象としたリスキリングについて官民一体による国民的議論を喚起すべき。“と強調しています。

人口減少が加速する中で、働く方一人ひとりの生産性を向上させるためには、時流にあったスキルやより高度なスキルを身につけなければならないと認識しているのでしょう。

社員教育に対する“よくある誤解”

実際に我々の元にも教育体系構築や研修講師派遣などに関するご相談が多数寄せられています。

なかには、色々な教育をしたにも関わらず能力開発に繋がらないと、半ば諦めていらっしゃる方もいました。

私としても何とかお役に立ちたいと思い、同じ船に乗ったつもりで真剣に対応させていただきます。

しかし、あえて正直に申し上げるとご相談の中には、誤った考え方をしている方が一定数います。

皆様には誤った考え方で物事を進めていただきたくないため、本稿では教育に関する誤解とあるべき考え方を整理します。

まず、考え方が誤っていると感じるパターンは大きく2つにわけることができます。

1.標準的な研修を実施したい

「初めて教育研修を行うため、まずは標準的な内容からで良い」「他社でも実施しているような標準的なカリキュラムが良い」など、理由は様々ですが、自社固有の研修ではなく標準的な研修を実施したいとご要望をいただくことがあります。

しかし、教育の目的を改めて思い出していただきたいのです。

それは、会社が変わるために、時流に合ったスキルや高度なスキルを社員が身に着けることでした。

それでは、標準的な研修を実施した結果、会社は変わるのでしょうか。


ご相談いただいた背景には、事業戦略や法規制の見直しに伴い、今までと質または量が異なる成果を生み出すことや行動を取らなければならない状況になったことがあるのだと思います。

従って、まずは事業戦略、業務分担(業務ツール)に基づき、社員に求める成果や行動を明確にする必要があります。

その後、その成果を生み出すことや行動を取るためにどのようなスキルが不足しているのかを明らかにします。

ここまで出来て、ようやく教育研修の話ができるようになります。

結果的に標準的な研修になる可能性があるとしても、最初から標準的な研修で良いということにはならないことをご理解いただけたと思います。

2.人事制度などとは切り離して考えたい

「評価制度や報酬制度などは教育と関係ない」「あまり大事(おおごと)にしたくない」などを理由に人事制度には切り込まずに教育研修だけ実施したいとご要望いただくことがあります。

確かに人事制度を改定するとなると時間も費用も掛かるので、教育研修だけに焦点を当てたいという気持ちは非常によくわかります。

但し、社員は本気で何かを身に着けたいと感じてくれているのでしょうか。

会社に言われたから、とりあえず受講しておくというような心構えになっていないでしょうか。

ご自身の過去を思い出しても、身が入らない研修があったのではないでしょうか。

社員に「この研修を通じて変わりたい!」「変わらなければ!」と思っていただくためには、動機づけ理論を理解する必要があります。

アタックス・ヒューマン・コンサルティングでは、人が動機づけられるプロセスを“ヒトキラメソッド”として体系化しています。

参考:ヒトキラ(人が輝き会社が変わる)メソッド

意欲とは物事を積極的に行おうとする心(Willingness)であり、この積極性を生む意識的・無意識的な原因が動機(Motivation)です。

動機に関する数々の理論により、意識的・無意識的な原因(動機)が行動に対してプラス(orマイナス)の効果を生むことが明らかにされています。

動機と行動を結ぶプロセスについても定義が進んでおり、行動によって得られる報酬の魅力が動機となり、動機が行動の意欲(努力が報酬になる期待感)を生み、意欲により人は行動しその成果を生み、成果に対する報酬の満足度がまた動機となるループ構造になっていることが明らかになっており、報酬の魅力性が重要なことがわかります。

また、各プロセスにおける難易度(成果につながる為の行動自体の困難性)が高い場合や、成果が報酬に繋がる期待(制度・環境などに基づく報酬を受け取れる可能性)が低い場合などにおいては、報酬を受け取ることが出来る可能性が低くなり、結果として報酬の魅力性を下げ、意欲を低下させる場合があります。

教育の目的をヒトキラメソッドに照らし合わせると、この研修を通じて自分が変わった場合に手に入れられる報酬(金銭的、非金銭的に関わらず)は、本人にとって魅力的なものでしょうか。

現状の一般的な人事制度は金銭的報酬に焦点があたっており、現代の多様な価値観に対応し切れていない可能性があります。

そもそも、会社が社員の動機づけのもとになる価値観を把握していないという場合もあります。

また、報酬制度が魅力的な内容だとしても、成果や行動を適切に評価されない場合は、報酬の魅力度を下げ、意欲を低下させることに繋がります。

ヒトキラメソッドに基づいた人事制度になっているからこそ、研修を通じて自らの成果や行動を変えたいと思えるのではないでしょうか。

人事制度と教育が連動していることをご理解の上、教育企画を進めていただければと存じます。

アタックス・ヒューマン・コンサルティングでは独自の行動変容理論であるヒトキラ(人が輝き、会社が変わる)メソッドに基づき、教育研修のみならず人事改革全般のサポートをしています。
ぜひご相談ください。

筆者紹介

株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 社会保険労務士 吉崎 英利
1989年7月生まれ、山口県出身。社会保険労務士事務所勤務を経て、アタックスに入社。前職では、社会保険手続や、就業規則改訂支援、労務相談等に従事。現在は、人事制度構築や就業規則改訂などの支援業務を通して、社長の最良の相談相手となるべく精進中。趣味は筋トレ。

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