先日、「崖っぷち“町工場”の逆襲!」というテーマのTV番組が放送されました。
ご覧になった方もいらっしゃると思います。
番組では、新たに“ものづくり”をしようと考えている人たちを支援するために、「ものづくりの駆け込み寺」として自社工場の一角に「ガレージ・スミダ」を開設した浜野製作所が紹介されました。
大手メーカーが製造拠点を人件費の安い海外へとシフトする中、“下請け”の町工場は仕事を失い、苦しんでいます。
アイデアはあるが、技術力がない会社。
技術力はあるが、アイデアがない会社。
そうした会社に、これまでにない新しい製品を生み出してもらおうという試みです。
この7月に、私も「ガレージ・スミダ」を見学させていただきました。
アップルやヒューレッド・パッカード等のガレージ創業を彷彿させるワクワク感を感じる場所でした。
私がこの番組の中で最も興味を持ったのは、「マイクロモノづくり」というコンセプトです。
「マイクロモノづくり」とは、少量のニーズに合わせて、高付加価値・高利益のモノづくりを行ない、自ら販路をつくり、販売するという考え方です。
このようなコンセプトを実践している企業が世の中にどれぐらいあるのだろうと思い、調べてみました。
すると、これまで大手メーカーの下請けだった企業が、長年培った技術を生かしてオリジナルの商品を開発し、ヒットを飛ばしている事例が多数ありました。
その中の1つの事例を紹介しましょう。
田中金属製作所は、岐阜県山県市で、水栓バルブ部品を下請け製造してきました。
2008年のリーマンショックで親会社が吸収合併され、注文が10分の1に激減しました。
この未曾有の危機に、起死回生を掛けて新たな製品開発に取り組んだ結果、独自の「節水シャワーヘッド」を開発しました。
これは、従来の半分の水でシャワーが使えるようになるだけでなく、細かい泡を発生させることで毛穴の汚れを落としやすくする効果があるという商品です。
2013年夏から本格的に売り出し、国内の大型雑貨店でも売れているほか、水道代を節約したいスーパー温泉などでも引っ張りだこです。
次なる一手は海外進出で、しかも、水不足の国に狙いを定めています。
手始めに乗り込んだのがシンガポールです。
大きな河川がない上、国土が狭く、雨水をためる土地も少ないため、政府から国民に節水要請が出されるなど、水不足は深刻で、人々は不自由な生活を送っていました。
「自分たちが培った技術が多くの人々の役に立てば・・・」との思いで展開されています。
皆さんの会社でも、永続成長していくために、次世代の事業・商品のライフサイクルを描き、「マイクロモノづくり」を中期経営計画の打ち手の1つとして組み込まれてはいかがでしょうか?
ここで、私が考えている「マイクロモノづくり」の実践ポイントをお伝えします。
・基本的な考え方は、本業はしっかり運営・維持しておきながら、マイクロモノづくりは、そちらに負担を掛けずに行なうべきです。
・新たな商品アイデアをどのように発想するか?については、社内で知恵・情報を持ち寄り、新商品アイデア・ワークショップを定期的に行なう仕組みを作ります。
ところで、「マイクロモノづくり」を進める上で必要なことが資金調達ですが、これについては、クラウド・ファンディングの活用が有効です。
クラウド・ファンディングとは、「こんなモノやサービスを作りたい」「世の中の問題を、こんなふうに解決したい」といったアイデアやプロジェクトを持つ起案者が、専用のインターネットサイトを通じて、世の中に呼びかけ、共感した人から広く資金を集める方法です。
皆さんも「マイクロモノづくり」の取り組みをはじめてみませんか?
アタックスグループでは、貴社の新たな時代を切り拓き、永続成長していくために、中期経営計画の立案・運用支援プログラムを提案しています。
ご検討頂ければ幸いです。
筆者紹介
- アタックスグループ アタックス社長塾 主席コンサルタント 西公通
- 1992年 一橋大学卒。IBMビジネスコンサルティングサービス、国内外戦略系コンサルティング会社にて成長戦略、企業変革、新規事業開発支援、博報堂ブランドコンサルティングにてブランド戦略に従事。アタックス参画後は、中堅中小企業の経営サイクル改善、事業利益モデル改革支援業務の他、現在は、アタックス社長塾プロデューサーとして活躍中。
- 西公通の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。