未達を許さないやり切る経営とは!~「管理会計」で組織風土を変えましょう!

会計

2017年の経営に関するキーワードといえば、「AI」「改ざん」、そして「働き方改革」が思い浮かびます。 どれも、取り組み方によっては会社の未来を左右するキーワードです。 私は、2017年の最後に「管理会計」というキーワードで皆様に自社を振り返っていただきたいと思います。

経営者とお話する中で、よく聞かれる言葉があります。

「我が社は決めたことがやりきれない」
「計画は立てるが達成に拘っている様子はなく、結局未達に終わる」

などです。つまり、何かをやろうとはするが、決めたことが未達に終わり、それについて、仕方がない、と半ばあきらめている、ということでしょうか。

この状態は、平時なら「仕方がない」で済ましてもいいかもしれません。 しかし、現在の経済環境下でいつまでも平時が続くとは考えられません。例え、平時であっても危機感を持って戦時になった時に対応できる体制を整えておくことが重要です。

では、そのことと管理会計とどんな関係があるのか?と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。私は関係が深いと思っています。 別の言い方をすれば、管理会計を使って決めたことをきちんとやるマインドにする、ということです。

管理会計とは、経営者が会社の業績を把握するために用いる会計手法です。 会社は、仕入から売上まで多くのプロセスがあります。工場ひとつとっても、材料を投入してから製品が完成するまで、多くの工程を経るプロセスがあります。 また、売上から利益に貢献する部門や事業もひとつではなく複数ある会社は少なくないでしょう。これらの部門や事業をそれぞれひとつの会社と捉えて収益を管理するのが管理会計です。

例えば、名古屋に有名な味噌煮込みうどんのお店があります。このお店のメニューは、バリエーションは幾つかあるものの、基本的には味噌煮込みうどんひとつです。 このお店が仮に1店舗しかなければ管理会計は不要かもしれません。しかし、複数の店舗になれば店舗毎に損益計算書が必要になります。また、飲食だけでなく販売用の商品を扱うとなれば、飲食事業と販売部門に分けた業績管理が必要になります。

なぜ必要か?管理会計を使って業績管理をする理由は二つあります。

1つ目は、業績の向上です。会社を細かく分けて業績を管理する事で、問題点を正確に把握し、早い対策が可能になります。

2つ目は、各部門の長(上記の味噌煮込みうどんの例では店長)や事業本部長(同じく飲食事業本部長)の育成です。

実は、2つ目の目的が非常に重要なのです。業績管理の仕組みを使ってひとつの部門をマネジメントするリーダーと、そのサポートをする次期リーダーを、計画→実施→検証→改善のPDCAをきちんと回すことができる人財に育てるのです。

まず、各部門のリーダーたちに計画を立ててもらいます。その時に重要なのが数字の計画だけでなくどのように行動して計画を達成するつもりかという行動計画も作ります。 そして、毎月の業績が集計されたら計画と比較した月次決算書を作成します。この月次決算書は管理会計を使って部門別に作成します。 それを基に会議等で計画と実績の差異を議論します。各リーダーには説明責任を負って頂き、なぜ未達になったのか、なぜ達成できたのか、をきちんと説明し、次にどのような行動を取るのかを考えて、表明してもらいます。

このやり取りを繰り返すことによって、計画の精度があがり、立てた計画(行動計画)をきちんとやりきる意識が高い人財や組織が育ちます。その結果、会社は業績を上げ、持続的な成長が実現できるのです。 決めたことがやれない、色々取り組ませているが中途半端に終わると悩んでおられる経営者は、一度、管理会計を使った業績管理を会社の仕組みに取り入れてみてください。それに加えて、やった人を評価する人事制度を構築しておけばベストです。

決めたことがやれないのは、個人の能力の問題もあるでしょう。しかし、一番の原因は、決めたことをやりきる仕組みを作らずに、できないことを許して原因を追求していない会社の文化にあるのです。

【アタックスの「管理会計」導入支援】

筆者紹介

株式会社アタックス戦略会計社 代表取締役会長 片岡 正輝
1952年生まれ。アタックス税理士法人の前身である公認会計士今井冨夫事務所に入社。現在は、アタックスグループの統括マネージャーとして、広範囲な知識と豊かな経験という両輪を武器に、経営・財務・会計業務を中心に計画経営の推進、経営再構築、事業承継等のコンサルティング業務に従事、経営者の参謀役として絶大なる信頼を得ている。
片岡正輝の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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