「賃上げ」だけではダメ!~「社員育成戦略」が本当に必要な時代!

人材育成

「社員育成戦略は万全ですか?」

新年度に向けた予算策定、人材教育計画が大詰めとなる季節ですが、特に人件費に関して、今年は年始から「賃上げ」がクローズアップされています。

先の新年賀詞交換会で安倍首相が、「経済の好循環を実現するため3%の賃上げをお願いしたい」と経済団体に要請したことはご承知の通り。大企業の反応も各社様々ですが、デフレ脱却の名のもと、4年連続の賃上げを更に力強く実行するのが狙いです。

中堅中小企業も、人手不足にあえぐなか、人材確保と人材定着のために「賃上げ」を検討する企業も多いのではないかと思います。 「賃上げ」は、社員の生活向上、人材確保のために重要です。しかし「賃上げ」さえすれば、企業は社員に対して責任を果たしたことになるのでしょうか。 「人生100年時代」という言葉が定着しつつある現在、企業の寿命よりも人間が長生きする時代です。今後も私たちの仕事人生は伸びていくでしょう。

更に、「第4次産業革命」によって、テクノロジーの進化が人間の職域を凌駕する、その勢いは間違いなく加速しています。そしてこれらの現象は、次のような問いを私たちに突きつけています。

「今のあなたの仕事は、あなたが働きつづける間、存在すると思いますか?」
「今、あなたが保有している知識や技能は、この先もずっと通用しますか?」
「あなたは、豊かな仕事人生を送るために、学習し続け変化し続けることができますか?」

この問いを個人の問題とらえるか、企業永続のための重大な経営課題ととらえるかで施策がまったく異なります。 個人の問題、つまり、自己責任ととらえるのであれば、先の政府の要求通り、世間並みの「賃上げ」によって、社員の働きに報いていけばよいでしょう。しかし、これを企業の問題ととらえた途端に次のような経営課題に変わります。

「仕事人生の生涯にわたって、価値を生み出し、輝き続ける人財を育成する」

今後、企業が永続し続けるためには、この発想が不可欠です。そのために企業がすべき施策は何か。それはずばり、「社員育成戦略を練る」ことです。

しかし、先日の日本経済新聞夕刊に、「社員再教育、日本は最下位」の記事が掲載されました。 民間調査によると、世界33カ国・地域の労働者が、勤務先企業が費用を負担する研修を受けている割合が、日本の労働者は4割にとどまり、調査国・調査地域のうち最下位という状況です。

この結果からも明らかなように、日本の企業が真っ先に行わなければならないのは、これからの時代に通用する人財をどう育成していくかを真剣に考えることです。 そしてそのための教育投資は、社員自身が生涯にわたって社会で通用する人財になるための「報酬の一つ」という、発想が必要だと思います。

現実的な話をすると、現在、業績責任、残業削減責任、部下育成責任を担う、現場の管理職やマネージャーが、すべての企業において一番、苦悩しています。 役職者として、これまでとは比較にならないほど重い責任を負いながら、それを果たすための必要な教育投資がどれだけの企業で実施されているのか。先ほどの調査結果からも、その答えは自明です。

生涯にわたって通用する、技能とスキルを維持するための教育、時代の変化に対応できる力量を磨く教育。 新年度を迎えるにあたり、向こう一年間の教育予算をいくらにするかだけではなく、中長期的な「社員育成戦略」を、是非とも経営者、後継者、幹部の皆さまで議論して頂きたいと思います。

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筆者紹介

アタックスグループ パートナー
株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 代表取締役
中小企業診断士 北村 信貴子
1963年生まれ。中小企業診断士、産業カウンセラー、BCS認定ビジネスコーチ。大手食品メーカー勤務後、アタックス入社。中堅中小企業を対象に経営診断や人事制度設計運用・人材育成業務に従事。現在は、後継者育成、管理者教育、女性リーダー育成を中心に実践型の教育訓練・能力開発に特に注力。講演・セミナー実績多数。受講者との対話を通じて理解を深めていく迫力ある指導には定評がある。
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