コロナ禍が企業と個人に突きつけた命題~今こそ深い議論を!

経営

都市部を中心に新型コロナウイルスの第二波とも呼ぶべき感染拡大が起きつつあります。いったん緩和した対策を再び強化する企業も少なくないようです。

これまでの情報を見る限り、このウイルスは感染力がとても強い一方で、若い世代の感染者の多くは無症状・軽症である傾向があるようです。

当面の間は、医療体制を整え、高リスク層に対する十分なケアをしつつ、オン/オフを機動的に切り替えながら社会的活動を継続せねばならないでしょう。

コロナがもたらす様々な課題

さて、私は、コロナ感染拡大の中で様々な意見を発信する人が増え、マスコミとソーシャルメディアが補完し合うように片方の意見を増幅してしまう結果、まるで単純な二者択一のような議論がとても多くなってきたように感じます。

・リモートを推進すべきか、リアルを堅持すべきか
・変革を進めるべきか、過去に回帰すべきか
・経済の活性化を優先すべきか、感染抑止を優先すべきか
・成果を重視するか、プロセスを重視するか
・監視を強めるか、信頼に委ねるか
・管理を強化するか、自律を尊重するか
・補償を厚くするか、支援を強化するか

今私たちがすべきことはこうした二元論を語った後、どちらかを否定することではありません。

様々なデジタルツールや他社の先行事例をいち早く模倣することでもありません。

思考を深めないままコロナ以前のやり方に回帰することでもないと思います。

私たちの日常の企業活動は、長年、意識的/無意識的に積み上げられ習慣化されてきたものです。

その活動が、コロナ感染拡大に伴い一斉に物理的な制約を受けたのです。

これは、またとない振り返りの場を与えられていると考えるべきだと私は考えます。

外的にもたらされたこの変化は、自己分析と自己変革のための絶好の機会ではないでしょうか。

ウィズコロナはどうあるべきかを考える

私たちはこれまで、顧客への価値提供や人材育成、他者とのコミュニケーションなどをほぼお互いに移動し対面で行ってきました。

この仕組みがどのように効果的であったのかを見つめ直すことが何よりも肝要でしょう。

その上で、これからの私たちにとってより最適な考え方、行動、仕組みを考え抜くことはとても大切なことだと思います。

顧客への訴求点を明確にし、いま最も適した形、効果的な方法でそれを伝えることを真剣に考えねばなりません。

また、人材採用の取り組みや人事評価制度、育成プログラムは、本来、自律的でプロフェッショナルな人材の育成のためにあるべきものです。

しかしながら、現状の私たちは、人手不足に起因する採用市場の過熱や働き方改革の風潮にキャッチアップすることに腐心する余り、この本質を見失っている可能性がないとは言えません。

そうであれば、これからのあるべき人材の育成、確保に向けてあらゆるものを見直す良い機会となるでしょう。

IT環境についても、インフラの問題、利用する集団のリテラシーの問題、あるいは利用意識/意欲の問題なのかを明確に分別して冷静に議論することもいまなら可能でしょう。

繰り返しになりますが、深い掘り下げもなしに極論を採用すること、他社事例を追うこと、単純にコロナ以前のやり方に回帰することを私たちは避けねばなりません。

なぜなら、この大きな環境変化は顧客にも社員にも起きていることであり、皆が可能性と不安を感じています。機会に対する期待、変化に対するストレスを同時に感じています。

そうした人たちに対してしっかりと納得できる説明をする責任が経営者にはあるのですから。

私共アタックスグループも、常に変革精神を忘れず、お客様と相互に情報交換や協力をしながら、この感染症がもたらすであろう、企業と社員の成長というテーマに取り組んでいきたいと思います。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング取締役 廣瀬 明
1968年生まれ。企業再生、財務・事業デューデリジェンス業務、M&A、株式公開のサポート等に従事。中堅中小企業への豊富な支援業務を通じて培った知識と経験を活かし、現在大阪事務所のプロジェクトマネージャーとして活躍中。
廣瀬明の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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