今もなお、新型コロナウイルス感染症の収束の見込みが立ちません。
厳しい経営状態に置かれている企業が多いこのコロナ禍において、何とか従業員を守ろうと「コスト削減」に奮闘されている経営者の方も多いと思います。
そこで、今回は「コスト削減」の手順について、解説します。
コスト削減の6ステップ
コスト削減の手順は、以下の通りです。
ステップ① 過去データ収集
測定できていない(視えていない)ことは、改善が困難です。
コスト削減の成否には過去のコストデータ収集が極めて重要です。
▼測定が出来ていなくてコスト削減が十分でなかった事例
【A社】
コストの改善余地の大きさを個別に測定せず、感覚で削減を行った結果、
大幅な赤字に対するコストの改善効果が限定的であった。
【B社】
時間コスト(人件費)を測定しなかったために、
トータルのコストがアップした。
ステップ① 過去データ収集 ~ステップ② データ分析
過去データ収集から、データ分析までは以下のように行います。
ステップ③ 削減案の立案
削減余地と削減の難易度により、削減策の優先順位を明確にします。
下記のマトリックスの場合、Ⅰに該当する削減案が、削減余地が大きく難易度が低いため、効果が出やすい案です。反対に、Ⅲの削減案は、削減余地が小さく難易度も高いため、もっとも効果が出にくい案です。
また、時間軸で見ると、Ⅰは短期的に解決できるもの、Ⅲは中長期的に解決するものです。Ⅱはその中間となります。従って、場合によっては、Ⅲは実施しないという選択肢もあり得ます。
これにより、優先順位をつけた後、具体的にどのように実行するのかを明確にします。その際、以下のように計画を立てる(視える化する)必要があります。
ステップ④ 実施 ~ステップ⑥ 定着化
削減案を立案した後、実施から定着までの注意点は、以下の通りです。
コストは行動しなければ削減できない。また、行動が遅くなればそれだけ削減効果が表れる時期が遅れる。予定されたスケジュール通りに行動できているかが重要となる。
迅速に効果を検証(視える化)し、次のステップ(定着化または新たな削減案の立案)に進むことが重要である。
削減案を早く実施し、必ず効果を数値で検証します。うまくいかなかった場合は、原因を追究した上で、新たな策を立案し実行します。これを繰り返すことが、削減目標を達成させることに繋がります。
これはまさに、削減案の立案=P、実施=D、効果検証=C、新たな削減案の立案=A というPDCAサイクルを回すことに他なりません。
今、経費削減を実施している企業は多いと思います。その中で、自社のやり方をこのステップに照らし合わせて違いを認識し、足りない部分を補って目標通りの削減に取り組んでいただきたいと思います。
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 土屋 元樹
- 1974年長野県生まれ。大手メーカー(上場会社)勤務を経て、株式会社アタックス戦略会計社 入社。中堅・中小企業を中心に、中期経営計画の策定、利益計画の策定、経営改善計画の策定、業績管理制度の構築・運用支援、経理業務改善、月次業績モニタリング支援、企業再生支援等に従事。各支援を通じて、経営者の片腕となる経営幹部の育成に情熱を燃やす。
- 土屋元樹の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。