2回目の非常事態宣言が解除された時期には、東京五輪も予定通り開催が決まり、何とか日本全体の経済が順調に回りだすと期待されていました。
ところが、とうとう今月25日から5月11日までの期間、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に緊急事態宣言が発出されました。
経営者の皆様は、社員と会社を守るために大変なご苦労をされていると思いますが、明日を信じて、社員の皆さんと共に「今、生き残るために、そして将来のために、今すべきこと」
に着実に手を打って頂きたいと思っています。
コロナ禍で失われた機会
コンサルタントとして多くの会社へ伺い、経営者や経営幹部の方々とお会いする中で、最近気づいた(危機感を持った)ことがありましたので、今回はその話をさせて頂きます。
それは、全社で意思統一する「場」が無くなっている、ということです。
弊社でもそうですが、毎週月曜日に全社員が集合し朝礼を行っていました。
そのスタート時には「社員信条」と「社員行動指針」の唱和を行っていたのです。恐らく、多くの会社でも行われていたと思います。
ところが、このコロナ禍で「集まる」ということができません。
そうすると、唱和や意思統一する機会がめっきり減ることになります。
もちろん、唱和していれば良いというものではないことは承知していますが、間違いなく皆が意識する機会にはなっていたはずです。
前置きが長くなりましたが、経営に必要な価値観や、「このような考え方を大切にする」といった内容を示す「行動規範」について、この機会に考えたいと思います。
名言にならう!ビジネスに重要な言葉
会社を経営する上で、売上や利益を生み出すビジネスモデルは絶対に必要です。
しかし、長期に渡って会社を存続し続けるためには、全社員が共感できる価値観を示すこともとても大切なことです。
その価値観を社員に浸透する手段として「行動規範」があります。
すでに皆さまの会社では理念や行動規範的なものが示されていると思いますので、今回は、私が日々の仕事を行う上で、考え方の軸にしている「好きな言葉」をご紹介します。
まずは、この言葉です。
自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ。
ご存知の通り、リクルートの創業者、江副浩正氏の言葉です。
説明不要の名言ですが、私も「自分で考え行動することで、自身の可能性を広げチャンスをつかむことができる!」と信じて常に実践しています。
指示待ちや当事者意識がないと感じる社員には、この言葉を何回も復唱させると共に、会社も、仕事を通じてその機会を与えるといった工夫をしてみてはいかがでしょうか?
次に、「電通鬼十則」です。
残念なことに、過労死による一連の問題で、今や封印されてしまった、「電通鬼十則」ですが、ビジネスを進める上で重要な規範となる言葉が並んでいます。
10のうち、私が常に頭に置いている7番目の言葉をご紹介します。
計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる
最後に、ベストセラーである「社長のノート」の著者で、私が尊敬する長谷川和廣先生の言葉です。
上記の「電通鬼十則」で紹介した言葉と相通じるものがありますが、会社でも個人でも、成果を出すためには何をすべきかを考える上での軸になる言葉です。
目標なくして計画なし、計画なくして行動なし、行動なくして成果なし
この難局を乗り切るには、社長の強力なリーダシップはもちろんですが、会社に所属する皆さんが、力を一つに結集しそれぞれが100%の力を発揮する環境を作り出すことが更に重要です。
価値観等の意思を統一する機会がめっきり減った今、全社員に「何を大切に考えるのか」「そのためにどう行動するのか」を共有する経営を、この難局だからこそ、最優先に取り組んでいただきたいと願っています。
筆者紹介
- 株式会社アタックス戦略会計社 代表取締役会長 片岡 正輝
- 1952年生まれ。アタックス税理士法人の前身である公認会計士今井冨夫事務所に入社。現在は、アタックスグループの統括マネージャーとして、広範囲な知識と豊かな経験という両輪を武器に、経営・財務・会計業務を中心に計画経営の推進、経営再構築、事業承継等のコンサルティング業務に従事、経営者の参謀役として絶大なる信頼を得ている。
- 片岡正輝の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。