激動の時代は続く
昨今、コロナ禍に端を発したビジネスモデルの激動がクローズアップされがちですが、時代の変化は古くから続いており、今に始まったことではありません。
ただ、“激動”と感じるように、それだけ私達が環境変化を実感する情報量が増え、変化のサイクルが速くなってきたことも事実です。
戦後、焼け野原からの高度経済成長、バブル崩壊、失われた20年、東日本大震災、そして息つく間もなくコロナ禍…、恐らくこれからも予測しない事態がまだまだ起こります。
最近だと、オックスフォード大学の研究チームが、AI普及により失われる仕事リストを発表し世間を賑わせましたが、その影響が表れるのはこれからです。
新聞記事等で「大変だなぁ」と傍観するうちはまだ良いですが、その潮流の変化が目の前に訪れた時に冷静に対処できるでしょうか。
今一度、自らのビジネスモデルを再確認すべきです。
自社の強さと弱さを財務から見つけ出す
ビジネスモデルの見直しにあたっては、色々な着眼点があります。
着眼点はケースや立場によって異なりますが、最終的にみるべきポイントは、組織(ヒト)・事業(モノ)・財務(カネ)です。
どこから着眼しても、最終的にヒト・モノ・カネの視点を総合的に判断し、突破口を見つけていくことに変わりはありません。
構図としては以下のイメージです。
筆者は、常に上表の構図で顧客へのコンサルティングに臨んでいます。
弊社は財務会計をベースとするコンサルファームであるため、今回は上記の構図のうち財務面(カネ)からの視点でお話します。
自社の財務を分解しながら問題点を追究
財務を見るにあたっては、“損益”と“資金”の両面を見ます。
まず、損益に関しては、事業別・部門別に分け、次いで売上高と変動費と固定費に分けましょう。
もし赤字ならば、原因は概ね以下の3つが原因です。
②仕入先との交渉力が弱いため変動比率が高い
③固定費がかかりすぎている
その中でも、①②は外部との交渉を必要とするため解決に時間を必要とします。
短期的な解決を求めるのであれば、自社でコントロール可能な固定費③の問題に着眼します。
我々がコンサルティングを行うと、「固定費削減は限界」との声をよく耳にします。
果たして本当にそうでしょうか。
本当に必要な業務と、各人の役割・業務をつなぎ合わせると、意外とムダ(不要な仕事)とムラ(重複する仕事)があります。
平時にはそういったムダ・ムラを見過ごしがちですが、危機的状況になって見直し始めると意外と出てきます。
一方、損益は黒字でも資金繰りが厳しいこともあります。
その場合の問題の所在は、貸借対照表です。
貸借対照表の問題は、概ね運転資金と投資資金に分けられます。
投資回収は何年で見ていますか?
「勘定あって銭足らず」は、古くからの教訓です。
財務の分解の仕方(概念図)ご参照。
問題の真因を見つけ出し解決することが経営者の役割
行き詰まった時には、その解決策として積極路線も出てきますが、まずは足下の良い点と悪い点を自社の財務を通して見つめ直して頂ければと思います。
自社の財務を分解すれば、必ず突破口となる問題の真因があります。
その真因の解決策を具体化し、従業員と一丸になって進めることが経営者に期待される役割です。
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 鷲見直樹
- 1995年同志社大学卒。大手鉄道会社を経て、株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティングに入社。中堅中小企業に対する事業再生支援、中期経営計画支援、M&A支援、並びに経営顧問業務に従事。経営者だけでなく従業員を巻き込んだ対話を重視する実務に沿った指導に定評がある。「必ずやりきる」ことをモットーとしている。
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