「すでに起こった未来」を常に意識した経営を!

「すでに起こった未来」を常に意識した経営を! 経営

トランプ米大統領は2度目の就任直後から、早速関税を課するなどの大統領令を発令し自身の公約実現に突き進んでいますが、その政策によって世界はどのように変わるのでしょうか?

特に経営者の皆さまは、経済や景気にどのような影響が及ぶかを注視しておられることでしょう。

しかし、どのような事態になろうとも、自社の「品質・納期・コスト」の水準を高め顧客が求める以上の水準で商売を進めることこそが、将来に渡り生存し続ける道だと思います。

そのためには、現状や来期のことを考えることも大切ですが、もう少し先の目標を設定した上で、現状を正確に把握することが、大事なことだと考えています。

経営目標の重要性

私がこのような考え方に至ったのは「すでに起こった未来」という言葉を深く考えるようになってからです。

ご存じの通り、経営学者であるピーター・ドラッカーが、著書「創造する経営者」の中で示した考え方です。

今から30年近く前に読んだのですが、その時点ではこの言葉を深く考えませんでした。

その後、アタックス戦略会計社の社長として管理会計による業績管理でクライアントに伴走していくというサービスラインを確立していく中、「社長のノート」の著者である長谷川和廣先生に「経営目標」の重要性についてご指導を頂きました。

そこで、経営目標(将来のあるべき姿)と現状のギャップをクライアント毎に考えるようになったのです。

平成15年頃を思い起こすと、当時は経営目標を設定し、現状とのギャップの課題に手を打ちながら経営を進める中堅中小企業は、まだまだ少数派だったと記憶しています。

会社(クライアント)の現状(BS・PL・現場)と経営者の言動等から将来を推察していくと、「こんなことを続けていたら…」とか「この業界はこの方向で動いているのにこんな考え方でよいのか?」などの課題が浮かび上がります。

そして、「なぜ経営者は〇〇に手を打たないのか?」といった疑問が生じるのです。

現状維持は会社の存続危機に

今もご相談を受ける際、社長に「将来どのような会社にしていきたいとお考えですか?」とお聞きすると、「現状を維持していきたい」と答える方がおられます。

「現状維持」が悪いとは言いません。しかし、5期比較のPLをみると、売上は横ばいで付加価値率が低下傾向のため付加価値額は減少、しかし固定費は増加傾向なので営業利益は減少傾向。

このような状態で現状維持とはいつの時点の業績(PL)を維持するのでしょうか?

今起こっている現状(付加価値率の低下傾向あるいは固定費の増加傾向)に対し具体的な手を打っていかなければ、未来の姿はかなりの確率で赤字を描くことになってしまいます。

つまり現状維持は困難どころか会社の存続も危ぶまれる事態になるかもしれません。

また、業績だけでなく、「新しく就任した社長は三男であるために持株数が少ないが、将来の経営体制を考えた場合これで良いのか?」など、業績が盤石な会社であっても未来を想像すると不安要素もあり、今対処しておかないと深刻な結果を招く現状が沢山あるのです。

そのことに気が付けば、あるいは発見できれば、「起こりうる未来を良い方向に変えることができる」ピーター・ドラッカーはそのように言っています。

経営目標を設定して会社の未来を変えよう

経営目標の設定で会社の未来を変えよう

未来は誰にもわかりません。しかし、現状(今起こっていること)から未来はかなりの確率で想像できます。

人口問題や環境問題をみれば明らかです。そして、会社の経営についても同じことが言えます。

決算書や社員の構成、最近の受注状況、主要な取引先のHPや業界新聞の記事、そして我が国の経済状況や金利動向など自社の将来に影響がありそうな情報はいくらでも手にすることが可能なのです。

特に、管理会計による5期比較の決算書を穴のあくほど見て頂ければ、将来に向けて、今手を打っていくべき問題点(すでに起こった未来)が表れています。

問題は、「そのすでに起こったこと」と向き合う必要があることに気が付かない、または見て見ぬふりをし行動を起こさない、もしくは起こせないでいることです。

ぜひ、会社の未来を変える経営目標を設定して、「現状の決算書にどのような手を打つか!」を考えて頂き、社員の皆さまと共に成長・繁栄した未来を実現されることを願っています。

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筆者紹介

片岡正輝

株式会社アタックス戦略会計社 代表取締役会長 片岡正輝
アタックスグループの統括マネージャーとして、広範囲な知識と豊かな経験という両輪を武器に、経営・財務・会計業務を中心に、計画経営の推進、経営再構築、事業承継など顧問先に対するコンサルティング実績を持ち、経営者の参謀役として絶大なる信頼を得ている。

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