借入金の返済余力をみる
銀行からの借入金に対する返済余力を見るのには、債務償還能力を示す指標をつかいます。
これにより、銀行からどの程度の信用があるのかを自己判断することができます。
債務償還能力をみる指標としては次のようなものがあります。
(2)自己資本有利子負債比率
(3)債務償還年数
(1)借入金月商倍率
借入金月商倍率は、借入金が月間売上高の何倍であるかを示す指標です。
借入金の返済余力を見る大変シンプルな指標です。
一般的には借入金が月商の3倍までが健全な借入限度と言われています。
どんなに忙しい経営者でも、自分の会社の月商と銀行からの借入金ぐらいは頭に入っているはずですので、借入金月商倍率で借入過大になっていないかを簡単に判断することができます。
(2)自己資本有利子負債比率
自己資本有利子負債比率は、ギアリング比率とも言われ、自己資本と有利子負債との比率です。
有利子負債には銀行からの借入金、社債などが含まれます。
負債は資本でまかなえることが望ましいという考え方から、中小企業では100%以下、つまり自己資本の範囲内であれば健全な借入状況だと言えます。
当然、この比率は低い方が望ましいと言えます。
(3)債務償還年数
債務償還年数は、税引後利益と減価償却費を足した「キャッシュフロー額」(狭義のキャッシュフローと言います)で、「有利子負債」を返済をするのに何年かかるかを示す指標です。
なお、ここでいう税引後利益とは、損益計算書の当期純利益ではなく、経常利益から法人税を引いたものを差します。
(キャッシュフローという概念の詳しい説明は、「キャッシュフロー計算書の見方」を参照してください。)
この指標は借入許容範囲をチェックするのに大変わかりやすく、計算もしやすいことから銀行の融資判断においては重要視されています。
債務償還年数は5年以内であれば健全な借入範囲内だと言えます。
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筆者紹介
- アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 丸山 弘昭
- 数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
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