中期経営計画は、中小企業に必要性があるのか?

経営

中堅中小企業は厳しい経済環境下、どう生き延びていけばいいのでしょうか。
その対応策の一つが、今回を含めて計10回にわたってご説明する「経営講座:中期経営計画」です。

勘に頼った経営はもう通用しない~中期経営計画の必要性

現代は会社経営が非常に困難な時代です。
インターネットを例に考えてみましょう。
インターネットを使えば、世界中の情報をいつでも入手することができます。
365日24時間、瞬時に情報の入手が可能です。
これによって、情報の差別化ができにくくなっています。

すなわち、「自分だけが知っており、ライバル会社は知らない」という競争優位な状態をつくりにくいのです。

さらに、 ITやパソコンの発達により、誰でもいろいろな経営分析をすることが可能となりました。
少しの時間とコストで、製品別や顧客別の採算分析等ができる時代です。

パソコンで経営分析

ということは、中小企業といえどライバル会社は、どんぶり勘定ではなく、あらゆる社内外の情報を入手し、分析し、会社の経営戦略を立てている可能性があります。

もし、そんな時、自社がそうした分析もないヤマ勘に頼った経営であれば、ライハル会社に勝つことはできるでしょうか。

目標と現在のギャップを埋めるための行動計画

会社はヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源が機能的・組織的・有機的に一体となったものです。

仮に、優秀な従業員が無尽蔵にいて、資金を無制限に使うことができ、すべての情報を入手することができるのであれば、経営者は苦労しません。
しかしながら、現実にはこれらの経営資源は有限です。

その制限された中で、会社を継続的に維持・成長させていくためには、
例えば、
・会社の目指す方向性が全従業員に浸透しており、企業行動に無駄がない
・従業員が仕事の優先順位を理解し行動できる
・部門間での不協和音が生じていない(セクショナリズムに陥っていない)
・仮に社長がいなくても、役員を含め従業員は何をすべきかわかっている
といった力が備わっている必要があります。

中期経営計画とは、現状の姿と将来のあるべき姿のギャップを認識し、その差をどのように埋めていくのかを行動・数値の両面で表わした計画のことです。

中期経営計画の意義

社長は将来どんな会社にしたいのか、夢・目標・経営ビジョン等をお持ちです。
一般的に、それらの夢と会社の現実には乖離があります。
でも、むやみやたらに頑張れば乖離がなくせるというものではありません。

最も効率的かつ効果が最大になるよう全社を挙げて行動すべきです。
その全社の努力の方向性をコントロールしていくのが「中期経営計画」なのです。

従業員が20人以上になれば中計が必要になる

まだ従業員が数人程度であるならば、社長は自らの事業に対する考えや思いなどを直接従業員に伝えることができます。
しかし、10人を超える組織になってくると、忙しい社長ですから、すべての従業員との意思疎通を図ることが難しくなってきます。

従業員数が20人を超えるようになれば、社長自らの意思・考え方等を伝えるために明文化された中期経営計画を策定することをお勧めします。
50人を超えれば、組織としての方向性を明確に合わせるためにも、この中期経営計画は必須です。

経営資源を最大限に活かし、会社を共通の目標に向けて成長させていく。これを実現するため、ぜひ、中期経営計画を策定し、活用していただきたいと思います。

この中期経営計画の「策定プロセス」は以下の通りです。
(1) 経営理念の検討
(2) 経営環境・経営資源と経営ビジョンの明確化
(3) 経営戦略の策定
(4) 経営課題を踏まえた上での行動計画と業績(数値)計画の策定
(5) モニタリング

各プロセスについては、次回「中期経営計画の5つの策定プロセス~その意味を知ろう」で詳しく説明します。

中期経営計画を策定・見直したい方はご相談ください(初回面談:無料)


次の記事:中期経営計画の5つの策定プロセス~その意味を知ろう
「経営講座:中期経営計画」の目次はこちら

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー
株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役会長
公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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