税務調査で、なにが問題になるのか? 無くならない否認事例! | アタックス税理士法人 国際部

税務調査で、なにが問題になるのか? 無くならない否認事例!

2024年5月15日

法人税調査の際、想定もしていない指摘を受ける事があります。それは唐突に課税所得を押し上げ、追加の税金を発生させます。

その多くは、海外グループ会社(子会社、親会社、関連会社、関係会社等)との取引であり、指摘内容としては、取引価格が適正ではない、受け取るべき対価を受け取っていない等で、会社にとっては「問題ないと思っていた」ことであり、過去に遡って否認をされる事も多く、否認金額も多額に上ります。

最近の調査の現場では、海外グループ会社との取引や出張した場合の費用負担について、必ず確認されます。また、海外グループ会社へ出向した社員の費用負担についても細かく確認を受けます。それほど、国税庁が重要度をもって取り組んでいる事項といえます。

税務上の問題発生のメカニズム

海外グループ会社との取引は、外部の第三者企業との取引に比べて「個別の事情を斟酌すること」が行われやすく、価格も適正でないことが多いのが現実です。法人税法等の各規定は、市場価格や第三者間で成立する価格(いわゆる時価)を前提としていますが、そのような価格となっていない場合(無償を含みます)には、税法では寄附金や移転価格税制を検討する法体系になっています。無償部分や市場価格等との差額部分について、法人間において贈与等があったものとして寄附金課税が行われたり、海外グループ会社との取引の場合には、寄附金課税の問題に加えて、海外への所得移転があったとして移転価格課税が行われたりする事例も散見されます。

税務調査で問題となる典型的な事例

実際に税務調査問題になりやすい事象と税務調査での検討ポイントを以下に記載いたします。

海外グループ会社の業績低迷により取引価格を改定した場合

この価格改定が、海外グループ会社等の(業績改善のため)ということではなく、「経済環境の変化に従って、ビジネス上、正当な価格に修正したまでである」といったことを(根拠資料に基づき)丁寧に説明していく必要があります。

債務免除(貸倒損失)・再建支援等の支援などをした場合

原則的に、海外グループ会社への「支援」に当たるため、寄附金課税が行われます。ただし、支援対象会社の経営状態によっては、債務免除や再建支援等の損金算入が認められる場合もありますが、その要件は厳しいので、十分に法人税基本通達(9−4−1や9−4−2)の内容を確認して、適切な再建計画などを実行する必要があります。

海外グループ会社の工場立ち上げ時に出張した場合

工場立ち上げは、あくまでもその工場を所有する海外グループ会社の業務(費用負担)という考え方となります。したがって、工場立ち上げ時の出張によるフォローをした場合には、その対価を請求すべきです。具体的には、立ち上げにかかわった出張者の1日あたり人件費を基に計算して費用負担すること、海外渡航費や宿泊費なども海外グループ会社が負担しなければいけません。第三者の会社の業務支援を行った場合の値決めの方法を参考に考えてみてください。また、当該グループ会社の設立前の検討段階で親会社が行う現地調査コストは親会社負担が認められる場合がありますので、状況に応じて検討をしてください。

海外グループ会社の工場立ち上げに伴い親会社の中古設備の無償供与・売却をした場合

例えば海外グループ会社に無償供与した資産の帳簿残高が時価相場から乖離していると考えられる場合には、別途、何らかの基準で時価を見積もって売却価額を決定する必要があります。さらに、移転価格税制では、生産移管した機械には貴社のノウハウが含まれており、それらも一緒に移転したとみなされることがあるため、時価の算定や設備移転後のロイヤリティの設定なども検討が必要です。

海外グループ会社への出向・較差補填について

較差補填金は、あくまで出向先法人(海外グループ会社)の同等級の役職者と同水準の給与が支払われていることが前提となります。出向先で同水準以下の金額しか支払われないため、日本親会社が較差補填金を支出する場合は、金額の妥当性が検討されます。基本的に国税局は、人件費の全額を出向先で負担する事が合理的と考えているので、較差補填金を支出する際には、十分な検討が必要となります。

グループ内役務提供があるか

グループ会社全体の間接部門の業務(経理、システム等)効率化のため、親会社などで一括して行っている場合に、各グループ会社は応分のコストを負担しなければなりません。負担額の算定は難しいかもしれませんが、検討が必要な項目の一つとなります。最近の税務調査では、この論点が多く問題提起されております。

海外グループ会社への貸付金利・借入時の保証料の検討

海外グループ会社への貸付金の金利は、借入先会社の信用力により想定される市場金利を参考に設定する必要があります。また、海外グループ会社が金融機関から借入をする際に親会社が保証をしている場合には、親会社はそのグループ会社から保証料を受け取る必要があります。こちらも新しい論点ですが、今後の税務調査で論点としてあげられる可能性が高いと考えられます。

海外グループ会社の営業利益率が高い場合

海外グループ会社の営業利益率が同業他社に比べて高い場合には、国税局は国外に所得が移転したと考え、移転価格税制の検討を進めます。よって、各グループ会社の利益率については、決算の都度確認が必要となります。特殊事情などで突発的に利益率が上がった場合は、その要因分析をしたうえで移転価格税制上の問題がないかを検討する必要があります。

最後に

海外グループ会社が存在する場合の税務上の検討項目については、新たな取引の開始や見直しの際に論点の整理をする事が必要です。また、取引関係は管理部門に連絡がないまま(現場で)変更している場合もあるので、決算時や定期的に取引内容を確認する必要があります。上述した論点は、一般的なものですが参考にしていただければと思います。

ご相談・お問い合わせはこちら
コラムお問い合わせ
上部へスクロール