国境を超えるデジタル時代の消費税について理解しよう! ~消費税の課税方法の変更に注意~ | アタックス税理士法人 国際部

国境を超えるデジタル時代の消費税について理解しよう! ~消費税の課税方法の変更に注意~

2024年4月16日

企業取引のグローバル化が進み、特にインターネットを介した電子書籍や音楽配信サービス、クラウドサービス、ネット広告の配信などは、最近では当たり前の取引形態となっています。

今回は、取引形態に即した消費税の課税方法の変更である「リバースチャージ方式」と関連する「国外事業者申告納税方式」について解説します。

リバースチャージ方式とは

国外事業者が行う国内事業者向けの「電気通信利用役務の提供」に適用される課税方式です。

この制度は、国境を越えた役務の提供に関する消費税の取り扱いを見直すために、平成27年(2015年)の税制改正で導入されました。

電子書籍・音楽・広告の配信など、電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供取引が含まれます。

国外事業者は、消費税を上乗せせずにサービスを提供し、その取引がリバースチャージ方式の対象であることを国内事業者に通知します。

国内事業者は消費税を申告し、納税する義務を負います。

俳優やプロスポーツ選手など、国外事業者である特定の者が日本で特定役務を提供する場合もリバースチャージ方式が適用されます。

リバースチャージ方式は、全ての事業者に適用されるわけではありません。

経過措置により、一般課税制度により申告する場合で課税売上高割合が95%未満である事業者にのみ、リバースチャージ方式の申告と納税が必要です。

簡易課税制度により申告する事業者、課税売上割合が95%以上の事業者については、リバースチャージ方式による申告・納税の必要はありません。

関連記事:消費税リバースチャージ方式って?再度確認しましょう!|アタックス税理士法人

消費税の課税原則と内外判定

消費税の課税対象取引は、国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供という要件をすべて満たしたものとなります。

消費税がかかるのは国内取引のみであり、国外で行われる取引には消費税は課されません。

ただし、「電気通信利用役務の提供」の場合は、役務の提供を受ける者の住所地等が国内か否かで判断し、提供者が国外であっても消費税が課税されます。

国内の事業者からの役務提供は課税され、海外からのインターネットを介した役務提供は不課税という不整合を是正するために改正されました。

この場合、購入側が役務提供事業者に代わって、消費税を申告・納税します。

これがリバースチャージ方式です。

リバースチャージ方式が採用されるのは、海外事業者から国内事業者向け「電気通信利用役務の提供」を受けた国内事業者です。

国外事業者申告納税方式

一方で、事業者向け「電気通信利用役務の提供」以外のものを消費者向け電気通信利用役務といい、リバースチャージ方式は適用されず、通常通り、国外事業者が消費税申告を行います。

これを国外事業者申告納税方式といいます。

この方式は、BtoC取引において一般消費者に消費税の納税義務を課すことが現実的ではないため採用されました。

登録国外事業者制度とインボイス制度への移行

消費者向け電気通信利用役務については、国外事業者に課税漏れが生じることから、仕入税額控除の適用対象外とされています。

登録国外事業者制度を設けて、登録を受けた国外事業者が発行する請求書と帳簿を保存する事業者に仕入税額控除を認めていましたが、令和5年10月からインボイス制度へ移行されました。

令和5年9月1日時点の登録国外事業者は、登録の取消しを求める旨の届出書の提出がない場合、インボイス発行事業者の登録を受けたものとみなされ、役務提供を受けた事業者は仕入税額控除をすることができます。

まとめ

国境を超えたサービスの提供は消費税の課税非課税判定に迷うケースが多いです。

特に、「電気通信利用役務の提供」かどうかという点において消費税の内外判定が逆になるため、契約内容から誰が申告・納税義務を負うのか、課税関係を確認していく必要があります。

また、移行登録国外事業者に係る適格請求書発行事業者への登録状況は、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できますので活用ください。

参考:国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト

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