外国税額控除の検討は十分ですか~うっかりすると、控除できない場合があるかも~ | アタックス税理士法人 国際部

外国税額控除の検討は十分ですか~うっかりすると、控除できない場合があるかも~

2020年4月23日

日本税法では、全世界で得た所得に対し法人税課税を行います。

日本の課税所得を構成する所得に対して、外国で法人税(または源泉所得税)が課税される場合があります。

結果として日本と外国の二か国で課税を受けている事になります。

例えば、外国での所得100に対して日本で30%、外国で20%の課税がされた場合、日本と外国で合計50の税金を納める事になるのです。この状態を(同一所得に対する課税が二重になっているため)二重課税といいます。

ご承知の通り、日本で納めるべき法人税は課税所得の計算上、損金算入できません。これに対し、外国で課税された外国法人税(または源泉所得税)は損金算入が可能です。

ただ、上述した通り二重課税は解消されません。

そこで、二重課税を排除するための制度として外国税額控除があるのです。

以下の計算により外国税額控除額を算出し日本で課税される(全世界で得た所得)法人税額から差し引きます。また、外国税額控除を受ける場合の外国法人税(または源泉所得税)は、(日本の法人税と同様に)損金算入できないので注意が必要です。

外国税額控除額は、以下①と②のいずれか小さい金額です。

① 控除限度額 = 全世界所得に対する法人税額 × 外国での所得(国外所得)/ 全世界所得

② 控除対象外国法人税額

上記の計算で分かる通り①<②の場合は、外国で課税された法人税額の全額が控除されるわけではありません。

例えば、全世界課税が赤字の場合には、法人税は0となります。従って、外国税額控除額は0となります。 また、国外所得が0の場合にも同じことが起きます。

国外所得が0の状態は、「国外収入が、国外収入を上げるためにかかった経費以下」の場合に起こります。これでは、二重課税の排除ができません。

赤字が相当期間続く場合や国外所得の算定のよっては、外国税額控除を選択するメリットがない場合もあります。

日本の法人税法では、外国で課税された法人税の処理として、外国税額控除を選択するか否かを事業年度毎に選択する事が 可能となっています。

自社の外国法人税に対する所得や経営状態を確認した上で、有利な方法を選択する事が必要になります。外国税額控除が絶対的に有利とは限らないのです。

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