非居住者に対する課税のしくみ その②~非居住者に対する国内源泉所得ってなに?~ | アタックス税理士法人 国際部

非居住者に対する課税のしくみ その②~非居住者に対する国内源泉所得ってなに?~

2020年6月5日

前回は、非居住者が日本国内では国内源泉所得について課税されることを説明しました。

→前回のその①はこちらから

今回は、国内源泉所得について、説明します。

居住者については、原則として、日本国内はもちろん国外において稼得した所得も課税対象とされますが、 非居住者及び外国法人については、日本国内で稼得した「国内源泉所得」のみが課税対象とされます。

実務上でよく見受けられる「国内源泉所得」には主に次のようなものがあります。特に一番判断に迷うのが⑦の「使用料」で、税務調査でも指摘されやすいです。

①外国法人の日本支店の利益や、日本国内にある有価証券等(FXを含む)の運用又保有により生ずる所得、日本国内にある有価証券等(FXを含み)の譲渡により生ずる所得

②日本国内にある土地、土地の上に存する権利(借地権等)、建物及び建物の附属設備又は構築物の譲渡による対価(所得ではありません、以下同様)

③日本国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価

例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者又は科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価がこれに当たります。

④日本国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価

⑤日本日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、日本国内の営業所に預けられた預貯金の利子等

例えば、日本の銀行への預金利子がこれに当たります。

⑥内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等

⑦国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、又はその譲渡の対価、著作権の使用料又はその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの

例えば、ソフトウエアの譲渡や使用料がこれに当たります。

⑧給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの

これは、短期滞在者免税に該当しないので注意が必要です。

⑨その他の国内源泉所得

例えば、国内において行う業務又は国内にある資産に関し受ける保険金、補償金又は損害賠償金に係る所得がこれに当たります。

これらについての課税方法は、国内源泉所得の種類、恒久的施設の有無、国内源泉所得が恒久的施設に帰せられる所得か否かによって異なります。

なお、租税条約によって国内源泉所得について異なる定めがある場合は、租税条約に従うことになります。

また、⑨以外は源泉徴収の対象となりますのであわせて留意して下さい。

上記の取引について源泉徴収をし忘れた場合には、追加で支払うことになり、合わせて延滞税も必要になりますので、注意して下さい。

次回は、国内源泉所得の税率についてお話します。

→続きその③はこちらから

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