前回は、非居住者の課税対象となる国内源泉所得を説明しました。
今回は、国内源泉所得に該当した場合に必要な源泉徴収税率を説明します。
非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」といいます)に対して、日本国内で源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際、原則として、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
また、非居住者等に対して国内源泉所得を国外で支払う場合であっても、その支払者が国内に住所若しくは居所又は事務所等を有するときは、国内源泉所得を国内において支払うものとみなして、源泉徴収をしなければなりません。
非居住者等に対する支払が外貨によっている場合には、円に換算した上で源泉徴収を行うことになります。換算は、支払期日における電信買相場が原則ですが、その支払が著しく遅延していない場合は、現に支払った日における電信買相場によっても差し支えありません。
源泉徴収の対象となる主な国内源泉所得とその税率は、次のとおりです。
1.土地等の譲渡対価・・・・・・・10.21%
(ただし、土地等の譲渡対価が1億円以下で、その土地等を自己又はその親族の居住の用に供するために譲り受けた個人から支払われるものについては、源泉徴収は不要です。)
2.人的役務の提供事業の対価・・・・20.42%
3.不動産の賃貸料等・・・・・・・・20.42%
(ただし、不動産等の賃貸料で、自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた個人から支払われるものについては、源泉徴収は不要です。)
4.利子等・・・・・・・・・・・15.315%
5.配当等
イ 上場株式等の配当等・・・・15.315%
(ただし発行済株式又は出資の総数又は総額の3%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する非居住者が支払を受ける上場株式等の配当等は除きます。)
ロ イ以外の配当等・・・・・・20.42%
6.工業所有権、著作権等の使用料等・・・・・・・・・・・・20.42%
7.給与その他人的役務の提供に対する報酬、退職手当等・・・・・20.42%
なお、日本とその非居住者等の居住地国との間で租税条約が締結されている場合には、その租税条約に定めるところにより、前述の税率が免除又は軽減されることがあります。この免除又は軽減を受けようとする場合には、支払を受ける非居住者等が支払日の前日までに「租税条約に関する届出書」等をその国内源泉所得の支払者を経由してその支払者の納税地の所轄税務署長に提出することとされています。