2020年7月号のトピックでは、新型コロナウイルス感染症対応として海外赴任中の従業員が一時帰国した場合の注意事項をまとめてお伝えしました(詳細は以下よりご参照ください)。https://www.attax.co.jp/kokusai/column/post-1100/
新型コロナウイルスの終息が依然として不透明な現在、日本への一時帰国が長期化し、「短期滞在者免税」の要件である「183日を超えて日本に滞在している」人も見受けられるかと思います。(「短期滞在者免税」については上記リンク先をご参照ください)。
今回は、日本への一時帰国が長期化した場合の税務上の注意事項についてお伝えします。
1.一時帰国が長期化した場合
赴任国への再出国を前提に日本へ一時帰国しており、日本での滞在期間が 183 日超となる場合には、短期滞在者免税の要件を充足することが出来なくなります。そのため、海外現地法人から支給された給与は日本の所得税の課税対象となり、確定申告をする必要があります(非居住者に対する国内源泉所得の課税として税率20.42%が適用されます)。日本での勤務開始時に遡って課税されますので注意が必要です。本来は源泉分離課税で完結ですが、源泉徴収がされていませんので、本人が日本で確定申告する必要があります。
2.出国の目途が立たず、そのまま日本への帰任となった場合
帰任前までに海外現地法人から支払われた給与については上記1と同様の取り扱いとなり、日本居住者までの給与について確定申告が必要です。但し帰任後は日本居住者となりますので、居住者に対する給与として源泉徴収され年末調整において、日本での納税が完結します。なお、日本への帰任後に赴任先であった海外現地法人から給与等の支払を受けた場合は、日本の所得税が課税されます。この場合は、確定申告が必要になります。
新型コロナウイルスによるやむを得ない一時帰国であっても、短期滞在者免税の要件である「183日ルール」への特例的な措置は取られていません。一時帰国者が長期滞在化する場合は十分ご注意ください。