ハワイの不動産投資について、今回は、売却時の税金についてまとめてみたいと思います。
ハワイの不動産を売却する場合、日本と同様にキャピタルゲインに対して課税が行われますが、日本のように大きく保有期間で税率が変わるようなことはありません。
ただ、米国の非居住者や外国法人がハワイの不動産を売却する場合は、事前に米国連邦納税者番号を申請して取得したり、税金の取りはぐれを防止するための源泉税(預り税金)の制度があるなど制度的に異なる部分もありますので注意が必要です。
税制変更がたびたび行われますが、2020年12月現在の税制に基づいてお話しします。
源泉税(預り税金)
米国の非居住者や外国法人が、ハワイの不動産を売却する場合、その売却額に対して7.25%の州税(HARPTA)と15%の連邦税(FIRPTA)が源泉徴収されます。取りはぐれを防止するための先取りの税金になります。
州税の7.25%に例外はありませんが、連邦税は条件によって下記のように税率が変わります。
買主が自宅として | 30万ドル未満 | 30万ドル ~100万ドル未満 | 100万ドル以上 |
使用する | 0% | 10% | 15% |
使用しない | 15% | 15% | 15% |
買主から源泉税を徴収されたネットで売買金額が入金されますので、売主は特に納税手続を行う必要はありません。
また、売却損が出ていたとしても、売却時点で源泉税の支払い義務は発生します。実際には売却損にもかかわらず源泉税が引かれてしまいますので、明らかに売却損となる場合には、事前に源泉税免除申請(連邦:Form 8288-B、ハワイ州:Form N-288B)を行なうことで、源泉徴収自体を回避することもできます(税務当局から許可が下りるまでの間は、エスクローにて源泉税相当額はホールドされます)。
また、売却損とならない場合でも、源泉税早期還付申請(連邦:申請レター、ハワイ州:Form N-288C)を行なって、実際の売却益(キャピタルゲイン)課税と比較した過剰納付相当分を早期に取り戻すこともできます。いずれにしても最終的には、確定申告を行うことで源泉税による徴収金額の調整が行われます。
ハワイ州譲渡税
ハワイの不動産の売却では、売却時に課税される税金に「ハワイ州譲渡税」があります。不動産の売却額に対して下記の税率で課されます。
キャピタルゲイン税
キャピタルゲイン税は連邦税とハワイ州税が課されます。
ハワイ州税は、個人7.25%、法人4.0%ですが、連邦税について下記のように取り扱いが異なります。
個人の場合、譲渡益(課税所得)を
- 購入価額よりも売却価額が上回った部分(キャピタルゲイン)
- 減価償却によって生じた部分
の2種類に分けて課税が行われます。
キャピタルゲインは、保有期間1年超の場合、通常より低い優遇税率(最高税率20%)で課税されます。一方減価償却費相当部分と1年未満のキャピタルゲインは、10%~37%の給与所得等と同様の累進税率により課税されます。
法人の場合は、個人のような1年超のキャピタルゲインに対する税制優遇はありません。そのため、法人ベースの利益に対して一律21%の法人税率が適用されます。
日本居住者は、海外の不動産を売却して売却益がでた場合、日本でも確定申告して納税をしなければなりません。そのため原則的には、海外の不動産を売却した場合、国内と海外の両方の税金を払うことになってしまいます。ただし、このような国際的な二重課税を回避するため、外国税額控除の制度により調整が行われます。