令和2年12月に公表された「令和3年度税制改正大綱(以下、大綱という)」の国際税務分野について、改正の基本的な考え方と改正項目を紹介させていただきます。
基本的考え方
大綱によれば、国際金融都市に向けた税制上の措置として、わが国の国際金融センターとしての地位の確立に向けて、海外から事業者や人材・資金を呼び込むという考えにより、法人税、相続税、個人所得税について、以下のような改正事項を掲げています。
①法人税
■投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等の役員に対する業績連動給与は、一定要件のもと損金算入を可能とすること。
■過大支払利子税制の対象となる利子の範囲を広げ、損金算入限度額の計算をするなど一定の見直しをすること。
■外国子会社合算税制の対象となった、外国子会社から受取る配当金については一部を損金不算入とすること。
②相続税
■高度外国人材の日本での就労を促進する観点から、短期的に滞在する外国人が相続人等として取得する国外財産を相続税等の課税対象としないとすること。
③個人所得税
■ファンドマネージャーが出資持分を超えて受取る組合利益の分配について、一定の場合には、株式譲渡益等として分離課税の対象となることを明確化すること。
国際化に適応した適正課税の確保
また、国際化に対応した適正課税の確保として、以下のような改正事項を掲げています。
④納税管理人制度の拡充
■納税管理人が選任されなかった場合に、国税当局から納税者の親族や国内に所在する子会社等の関連者を納税管理人として指定をすることができる措置をすること。
⑤国際的徴収回避行為への対応
■日本での納税を滞納している納税者が、国外に財産を所有もしくは第三者へ無償譲渡した財産がある場合には、その第三者から滞納税額を徴収することができるようにすること。
上述のように、改正項目について、海外からの事業者・人材の受入について課税要件を緩和する事項があげられています。対象となる人材の要件などについては、今後の情報開示に注意が必要です。
各項目の詳細については、大綱及び今後の公表資料を参照してください。
税制改正大綱
https://www.jimin.jp/news/policy/200955.html