コロナウイルス(COVID-19)の影響により、税務でも様々な事象が生じています。その中でも一番の問題が、日本居住者に該当して確定申告が必要かどうかの判定です。今回は、日本居住者について記載したいと思います。
日本居住者に該当するの?
コロナウイルスの長期の影響により、下記に事象が生じているのではないでしょうか。
① 一時的に外国に出国(4ケ月出張)していた従業員が日本に帰国できない
② 海外出向者(期間3年)が日本に一時帰国したが、現地に出向できない
③ 外国人が日本で勤務しており期間満了したが、自国に帰れない
これらの事由により日本で長期滞在になっており、「日本で納税する必要があるのでは」と困っている関係者も多くなっています。その結果「日本居住者」というキーワードが頻繁に出てくるようになりました。では、日本居住者に該当するのでしょうか?
日本居住者とは
日本の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。日本居住者に該当すると、一定の場合には日本で確定申告が必要です。
日本居住者の判定
今回のケースを検討してみます。
①の場合
現在、一時的に海外に滞在していますが、国内に住所を有していると認められるため、日本居住者に該当します。従って、今まで通りの取り扱いで特段と処理は不要です。
②の場合
日本に住所がないため、日本非居住者として取り扱われます。ただ、海外現地法人から国内源泉所得である給与の支払を受けている場合で、短期滞在者免税の要件を満たさない時は、その給与について、日本において確定申告書の提出及び納税が必要となります。
③の場合
現在、日本に滞在しており、国内に住所を有していると認められるため、日本居住者に該当します。従って、今まで通りの取り扱いで特段と処理は不要です。
最後に
一時帰国の場合は様々なケースが想定されるため、納税漏れが発生しないように国際税務に詳しい専門家に確認することが望ましいです。