再確認!「国外財産調書」きちんと提出されていますか? | アタックス税理士法人 国際部

再確認!「国外財産調書」きちんと提出されていますか?

2021年4月23日

令和2年度の所得税確定申告が完了している時期ですが、「国外財産調書」の提出も漏れなく完了されていますか?

近年の動向

ご存知のとおり、5,000万円を超える国外財産を有する方は、翌年の3月15日までに当該国外財産の種類、数量及び価額等を記載した国外財産調書を提出しなければなりません。

先日国税庁より公表された、「令和元年分の国外財産調書の提出状況」によれば、国外財産調書の提出件数は10,652件(前年比6.9%増)、財産総額は4兆2,554億円(前年比9.2%増)、さらに、税務調査により加算税の加重・軽減措置が適用された件数は令和元年度では475件で前年の245件から倍増しています。

近年では、CRS(共通報告基準)などで得られた情報を元に税務調査が実施され、国外財産に関する申告漏れが発覚するケースが顕著であるといえます。

国外財産調書制度のインセンティブ

この国外財産調書制度には、適正な提出を促すため「過少申告加算税・無申告加算税の加重・軽減措置」が設けられており、国外財産に関して税務調査等で否認があった場合に国外財産調書が提出されていて財産の記載があれば過少申告加算税等が5%軽減されるメリットがある一方で、国外財産調書に財産の記載がない場合やそもそも国外財産調書の提出がない場合には過少申告加算税等が5%加重されるというデメリットが生じます。

令和2年度税制改正

これまでは、この過少申告加算税等の加重措置については所得税に関する修正申告等のみが対象でしたが、令和2年度税制改正によって相続税に関する修正申告等も対象とされることになりました。

また、同じく令和2年度税制改正では国外財産を有する者が国税当局より国外財産調書に記載すべき国外財産に関する資料(取引記録など)を指定された期限(60日を超えない範囲)までに提示・提出をしなかった場合には、過少申告加算税等の軽減措置の適用はなく、加重される場合の加重割合を5%から10%とする特例が創設されました。

これらの取扱いは、いずれも令和2年分以後の所得税又は令和2年4月1日以後に取得した相続国外財産に対する相続税について適用されます。

おわりに

国外財産をお持ちの方は、国外財産調書がもれなく提出されているか、今一度確認をし、不安があれば専門家へ相談されることをおすすめします。

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