日本では、緊急事態宣言の対象エリアが広がり、期間延長の議論も出始めています。
シンガポールにおいても、5月に入り、9か月ぶりに感染者が2桁台となったこともあり、即座に様々な対策が講じられています。
特に空港関係者の間でクラスターが発生したこともあり、ターミナルの一部封鎖、空港内にあるショッピング施設の封鎖、入国者の空港内通行ルートの隔離など対応が行われています。
さて、今回は3週間の隔離生活の最終日に筆を執っていることもあり、シンガポールの直近の新型コロナ感染症(以下、「コロナ」)事情をご報告します。
隔離期間の延長
5月7日より、コロナ感染者が少ない一部の国や地域からの入国者を除き、隔離期間を1週間延長し、政府指定施設での3週間隔離を義務付ける制度改正が行われました。
この改正は、5月7日以前に入国し、2週間の隔離期間中にある入国者にも適用され、2週間経過後にさらに1週間の隔離期間を義務付ける内容となっています。
現在は市中のホテルが隔離施設になっていますが、読者の皆様も3週間をホテルの部屋の中のみで過ごす経験をされた方が少ないと思います。廊下を含め、一切、部屋の外へは出られません。3週間のうち部屋の外へ出られるのは、隔離期間13日目と20日目のPCR検査を受ける時のみです。
検査もホテル内の特設会場で行われますので、30分ほど部屋を出るという程度です。
なお、最近では追加でお金を払うと、マリーナベイサンズやスイスホテルで隔離生活を送ることができるVIPプランも登場しているようです。
入国許可の発行停止
2021年7月5日までの期間において、新規入国許可の発行が停止されることになりました。この改正により既に入国許可が出ていたケースも、一部例外を除き、入国ができなくなりました。
建設、造船等の関係者は例外として入国が引き続き許可されますが、建設関係の多くの労働者は感染拡大が深刻化するインド近辺からの渡航者です。地下鉄など公共工事が進む中、外国からの労働力に頼らざるを得ない国ですので、今後の感染拡大が懸念されます。
★ご注意ください。
この入国規制により、日本滞在が長期化し、滞在期間が183日以上になる方は日本での所得税申告及び納税義務が発生する可能性がありますのでご注意ください。
市中感染防止策
感染者が増えるに従い、様々な感染防止策が即座に講じられました。
人が集中する状況を回避することを目的とし、例えば、店内飲食禁止、オフィスへの来客を禁止する、オフィス出社割合を25%以内とする、自宅へ招待するゲストは2人以内とする、授業をすべてオンライン化する、などがあげられます。店内飲食ができないため、各飲食店は食事やお酒の持ち帰り、デリバリー対応を行っています。
ワクチン
徐々にワクチン接種が進み、現在は40~44歳の国籍、永住権、ビザ保有者が対象になっています。
より接種率を向上させたい政府は、アメリカにワクチン供給を働きかけるなどの対策を行っています。
これまで1回目の摂取から3週間~4週間をあけて2回目接種をおこなっていましたが、より多くの国民にワクチンがいきわたるよう、接種の間隔を6週間にし、1回目の接種率を向上させる運用が行われています。
5月15日の日経新聞に、コロナ禍で最も安全な国はシンガポールであるというブルームバーク通信の調査結果が掲載されていました。
労働力や食料等の資源を諸外国に依存する国であるため、感染防止に対する施策は、決議までのスピードが速く、即実行されることになります。
迅速かつ強制力ある国策の施行は、小さい国であるが故に実現できる利点とも見ることができます。
シンガポールの近況報告を書き終えるにあたり、隔離期間中に受けたPCR検査の陰性確認が取れましたので、3週間ぶりに外へ出てみることにします。
お付き合いありがとうございました。