令和3年度の税制改正により、この4月1日から「租税条約に関する届出書」の提出手続が電子化されました。
租税条約の届出が電子提出で可能となると、かなり便利になると思います。
実務上は、慣れるまでにはまだまだ時間がかかりそうですが、重要な改正なので説明していきたいと思います。
具体的には、国内源泉所得の支払いを受ける日本の非居住者等は、源泉所得税等について租税条約に基づく軽減等を受けようとする場合に、一定の要件を満たすことで書面での提出ではなく、源泉徴収義務者を介して電子申告で提出できることになりました。
源泉徴収義務者とは
非居住者等に支払われる利子・配当・著作権等の使用料等は、原則、国内源泉所得として源泉徴収の対象となり、国内源泉所得の支払者が源泉徴収義務者となります。
令和3年3月31日までの取り扱い
非居住者等の居住国と日本との間で二重課税を回避するため租税条約等が締結されている場合には、非居住者等は「租税条約に関する届出書」を支払者(源泉徴収義務者)を経由して、支払を受ける日の前日までに、支払者の所轄税務署に書面で提出することで所得税等の軽減や免除を受けることができます。
この際、外国税務当局が発行する「居住者証明書」等の原本の提出も必要です。
ただし、現状は、コロナ禍に伴う国際郵便物の引受停止等により、当面は特例的な取扱いとして、一定の場合には届出書等の出力紙等で代替できることが示されています。
参考:コロナFAQ 租税条約に関する取扱いから 国税庁HP
税制改正による変更点
電子提出における源泉徴収義務者と非居住者等の具体的な要件は次のとおりです。
(1)源泉徴収義務者
源泉徴収義務者は以下①~③のすべてを満たす必要があります。
① メール等で届出書等の提供を適正に受けられること
② 提出した非居住者等が特定できること
③ 届出書等のパソコン等での表示及び書面での出力ができること
(2)非居住者等
非居住者等においては、以下のいずれかの方法で氏名又は名称を明らかにする必要があります。
① 届出書等の記載情報に電子署名を行い、電子証明書を合わせて送信すること
② 支払者から通知された識別符号及び暗証符号を用いて届出書等を送信すること
③ 官公署から発行された届出書等の提出者と確認できる書類を支払者に提示し、届出書等の記載事項を記録した電磁的記録の氏名(名称)及び住所(本店等の所在地)と同一であると確認をうけること