国際ルールで法人税率15%以上になる?
経済協力開発機構(OECD)は法人税の交際的な最低税率を、6月上旬のG7で合意した「少なくとも15%」とする案を採用したと報じられました。これは、多国籍企業グループの過度なタックスプランニングによって、軽課税国に所得移転をするというスキームを抑制する事を目的としています。
同時に、現状で15%を下回る水準の国・地域の反対は強く、低税率を武器に企業を誘致している状況において、法人税率の見直しを迫られると経済に影響が出ることは明白です。本来、自国内での経済活動に関する課税は、国毎に決定をされるべきであり、他国との協議で決めるという事には多少の違和感を覚えます。
デジタル課税はどうなる?
デジタル課税についても共通ルールが検討されています。
以前から問題になっている経済活動地と法人税課税地が違っている事による経済活動地において税が収受されないという点に対応するためです。現在「売上高200億ユーロ(約2.6兆円)、利益率10%」で線引きする事によって、世界で100社程度に絞り込む案で検討をしているようですが、グローバル企業が工場などの大規模な拠点を置かない国や地域でも、消費者がいる市場国で課税できるようにするようです。
フランスや英国では、ネット広告などで国内売上の一部に課税するデジタルサービス税を取り入れています。この場合、各国独自の課税と本店所在地での課税によって二重課税が発生する事がありますので、注意が必要です。一般的な国際課税のルールは、所得を生み出した国で課税するという事が、主流であり各国の課税当局は、このルールを厳密に適用した課税をする事が予測されます。
海外進出企業は何をするべきか
多くの日本本社では、海外税制の情報を取得する事は難しく、現地で課税されて初めて気づく事が多いと聞きます。課税される前に現地の税務情報をキャッチし、対応方法を検討する事が必要となります。そのため、現地コンサルからの情報や課税当局の発表について、タイムリーな情報収集を行うことが肝要です。
今後は、現地情報の収集と対応とともに、OECDの発表、各国の税務当局の動きにも注目していただくことが重要となります。