コロナウイルスも終息したなか、税務調査がかなりの勢いで再開されています。
調査連絡から調査対応におわれている企業もあるのではないでしょうか。
今回は最近の税務調査で指摘をされはじめたIGSについて記載してみます。
1.IGSとは
IGS( Intra Group Service)とは「企業グループ内における役務提供」といわれます。
日本親会社が海外子会社に、経営、技術、財務又は営業上の活動その他の法人が行う活動の役務提供を行うことをいいます。
具体的には次のような役務提供が該当します。
①企画又は調整
②予算の管理又は財務上の助言
③会計、監査、税務又は法務
④債権又は債務の管理又は処理
⑤情報通信システムの運用、保守又は管理
⑥キャッシュ・フロー又は支払能力の管理
⑦資金の運用又は調達
⑧利子率又は外国為替レートに係るリスク管理
⑨製造、購買、販売、物流又はマーケティングに係る支援
⑩雇用、教育その他の従業員の管理に関する事務
⑪広告宣伝
2.移転価格税制との関係
IGSは海外子会社への役務提供となりますので、移転価格税制の対象となります。
この場合、役務提供の対価については「独立企業間価格」で行わないといけません。
3.IGSに該当するケースは
IGSに該当するかどうかは、国税庁から「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」に詳細が記載されています。
特に事例26に「企業グループ内役務提供」が参考になります。
①人事政策の為の面接
②役員の変更や報酬の見直し
③TV会議を通じて運営の指示
④年間予算の算定
⑤業務監査の立ち合いと業務改善の指示書の作成
内容として、親会社が海外子会社に主に役務提供をしている場合には「IGSに該当する可能性が高い」と記載しています。
ただし、注意しないといけないのは、「IGSに該当する可能性が高い」となっていることです。
4.税務調査では
最近の税務調査では、海外子会社に出張している場合はもちろんのこと、
年1回の子会社への監査に行った場合にも、「IGSに該当する」という指摘が増えてきています。
これは上記3⑤によるものです。
実際に、調査官は事例集26をもって、IGSに該当すると主張してきます。
監査というキーワードだけで、否認をしてきます。
このような指摘を受けた場合には、
①海外子会社で実際に何をしたのか
②サポート的な業務ではないのか
③その業務から、海外子会社に便益があったかどうか
など総合的に判断して安易に指摘を受け入れないことです。
5.最後に
コロナウイルスも終焉して、今後はコロナ以前のように海外出張が増えることが見込まれます。
今後ますます、税務調査において「この取引はIGSだ」と指摘されるケースが増えてきます。
このような指摘を受けた場合には、国際税務の専門家に相談して安易に妥協しないでください。