海外出張費用の処理にまつわる税務調査対応 | アタックス税理士法人 国際部

海外出張費用の処理にまつわる税務調査対応

2024年3月18日

コロナも終息に向かい、企業の海外出張も活発になりつつあります。海外出張の合間にゴルフをしたり、観光をしたりする事もあると思います。そこで今回は、海外出張に関する費用処理と税務調査での対応について、解説いたします。法人の役員または社員が、業務上の海外出張に合わせて観光を行った場合には、その海外出張費用を、業務に係る部分観光に係る部分に、合理的に区分して、観光に係る部分は出張した者の「給与」として処理する必要があります。

1.業務と観光の合理的区分の方法

①          旅行期間に固有のもの(渡航先での交通費、日当、宿泊費等)

⇒それぞれの旅行内容に応じて区分します。

②          旅行期間に共通的なもの(往復の航空運賃、支度金等)

⇒それぞれの旅行期間の比によって按分します。

ポイントは、観光部分がある場合には②の費用の一部は「給与」となる事です。海外出張者にとっては、社命での出張にも拘らず給与課税されるという事になりますので、注意が必要です。

2.出張の事実確認による判定

法人の役員または社員の海外出張の直接の目的が、海外での特定の取引先との商談、契約の締結等法人の業務の遂行のためであり、たまたまその海外渡航の機会に合わせて観光も行う場合があります。

これらの費用を全て法人が負担した場合には、その渡航目的からみて、往復の運賃(その取引先の所在地等、その業務を遂行する場所までのものに限る)は、業務と観光に按分することなく全額法人の業務の遂行上必要な旅費として取り扱われます。

この場合、渡航の目的地までの往復の運賃を控除した残額について業務部分と観光部分とに区分し、観光部分に係る費用を渡航者に対する給与と処理することとなります。

また、海外出張期間の概ね全期間を通じて明らかに法人の業務の遂行上必要と認められる場合には、不当に多額でない限り渡航費用の全額を旅費として経理することが認められています。しかし、これとは逆に、出張先での顧客訪問が簡易または儀礼的なものである場合には、旅行全部が業務外とされますので注意が必要となります。

したがって、業務または観光のいずれかの日数割合が非常に少ない場合には、その海外渡航の主たる目的に従って、海外渡航費の全部を業務上必要なものは旅費として、業務上必要でないものは給与として処理することとなります。

3.税務調査に備えて

上述のように、出張の目的によって税務上の取扱いが違います。出張の目的を明確にするため、その目的、工程表、出張報告などの記録を基に、出張の目的を説明することがポイントとなります。また、出張前であれば、上述の取扱いを念頭に置き、出張計画をたてることをお勧めします。

<関連通達>法人税基本通達9-7-6~10

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_07_02.htm

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