税務調査の事前準備はどうする-最初が肝心!!- | アタックス税理士法人 国際部

税務調査の事前準備はどうする-最初が肝心!!-

2024年9月17日

コロナウイルスの影響もほぼなくなり、7月以降から税務調査が多くなってきました。

特に、コロナウイルスにより税務調査ができなかった期間が長かったため、

かなりの会社に実施調査連絡が入っているようです。

調査連絡が入ると、国税局や税務署(以下、税務署)から「調査事前準備依頼」がきます。

それをもとに、顧問先の調査担当部署は調査事前資料を準備することになります。

実地調査期間は多くて1ケ月、短くても3日間で、その後の調査決着まで1ケ月以上要する場合もあります。

今回は、税務調査の入口となる「調査事前準備資料」のうち、「海外取引にかかる必要資料」について整理していきます。

調査事前準備資料とは

文字通り、税務調査において、税務調査開始前、税務調査初日、税務調査期間中に調査官にコピーまたは閲覧させる資料になります。

事前準備資料は税務調査連絡後に税務署から送られてきて、そこから確認することになります。

これをもとに、顧問先は調査官の指摘を予測しながら税務調査に挑むことになります。

事前準備資料のポイント

ではどのような資料が必要とされるのでしょうか。

事前準備資料の一覧から、注意するポイントを整理していきます。

①出向者に関する一覧表

      海外子会社がある場合、ほぼ出向者がいます。

      どの海外子会社に何人行っているか、出向者の現地での役職などを確認します。

      これは、ズバリ「較差補填金」を確認してきます。

      日本親会社からの出向者への給与負担について、指摘をしようとしています。

      「較差補填金」は税務調査でほぼ問題となります。最優先でチェックしましょう。

      例外として、日本親会社から出向者への給与負担がない場合は、大きな問題とはなりません。

      海外出向議事録などで、日本親会社と海外子会社の負担割合を確認されるので、

      事前によく記載内容を見ておきましょう。

        ②出向契約書

          海外出向規定に基づき作成されているはずです。

          出向者への海外赴任期間を確認します。海外赴任期間が1年以上であれば、

          非居住者になるので、日本での課税関係は発生しません。

          しかし、出国者の出国にかかる年末調整の有無、海外出向後の最初に支払う

          日本親法人からの賞与について、「源泉徴収もれ」を指摘されますので、とても注意が必要です。

          これを指摘されると、反論の余地はありません。

            ③海外出張規定等

            海外出張の目的が分かる資料や出張報告書から、海外出張にともなう収入を確認します。

            海外子会社へ出張をした場合の旅費・宿泊費の費用負担割合や、出張時の役務提供などを確認します。

            費用負担割合がおかしくないか、海外子会社へ役務提供をしたのに対価を回収していないかなど

            「国外関連者寄付金」を指摘されます。

            出張報告書などで、旅費工程をしっかりと把握して、

            出張の際に海外子会社へ役務提供をしてないかなどを確認しておく必要があります。

              ④海外送金資料

              海外子会社だけでなく、海外取引先との支払い資料です。

              これは、通常の商品販売代金の支払いの他、ロイヤリティなどが紛れ込んでないかなどを確認します。

              その中で、ロイヤリティ支払いがある場合で、源泉徴収をしていないと「源泉徴収もれ」を指摘されます。

              海外送金は税務署にも連絡がいくので、事前に調査官が海外送金を把握していること理解しながら対応することが重要です。

              ⑤海外子会社との取引契約

              親子間取引は契約がない場合が多く見受けられます。

              特に、ロイヤリティ、業務委託、役務提供などの契約書が重要です。

              契約書をもとに、請求書から算定根拠を求められ、取引金額が適正かどうかを指摘してきます。

              取引金額が適正でない場合は、「国外関連者寄付金」として指摘されます。

              まずは、契約書をしっかりと準備して取引を把握しましょう。

                ⑥海外子会社との取引金額の集計資料

                海外子会社の決算書から、営業利益率を把握して、海外子会社に利益が落ちていないかを確認してきます。

                あわせて、別表17の4(国外関連者との取引)の作成に至った、取引金額の集計資料を求められます。

                売上、仕入、利子、役務提供などの抜け漏れがないかを確認してきます。

                海外子会社の営業利益率が高い場合は、「移転価格調査」となりますので、とても重要な指標です。

                少なくとも、毎年海外子会社の営業利益率はモニタリングするようにしてください。

                ⑦海外子会社決算書・申告書

                タックスヘイブンに該当しないかどうかを判定する、とても大事な資料です。

                別表17の3を作成する際に、必要となる資料ですので、間違いなく準備が必要です。

                海外子会社の税負担が20%未満の場合は、「タックスヘイブン」として課税されるリスクがあるので、

                適用除外判定も含めて、調査前に今一度、確認してください。

                調査にむけて

                調査官は税務調査にあたり、税務申告書から決算書および内訳書を隈なく見てきています。

                そこから、気になる個所を「事前準備資料」から当たりをつけていきます。

                ここからわかるように、調査前から税務調査は始まっています。

                特に海外子会社との取引については、見落としがちです。

                調査対応も重要ですが、「事前準備資料」から、

                調査官の海外子会社との取引からの狙いを確認するとともに、税務リスクを再度把握することはとても重要です。

                是非、事前準備にも力を入れて税務調査に挑んでください。

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