外国税額控除とは?算定方法や必要となる手続きをわかりやすく解説 | アタックス税理士法人 国際部

外国税額控除とは?算定方法や必要となる手続きをわかりやすく解説

2024年11月29日

国内と海外の双方で所得を得ている場合、二重課税を防ぐうえで外国税額控除が役立ちます。日本国内に居住しつつ、海外不動産などで収入を得ようと考えている個人の方は、制度の要点を押さえておく必要があります。

この記事では、海外所得を得ている「個人の日本居住者の方」に、外国税額控除の基本的な仕組みを解説します。日本国内から海外での収入を得たい方は、ぜひ参考にしてください。

外国税額控除とは

本項目では、日本に居住している方(日本居住者)へ焦点を当てて解説します。外国税額控除とは、日本と海外の双方で納税している個人に対して、海外で納めた分を還付してもらう制度です。

日本では国内・国外にかかわらず、すべての所得にかかる税金を納めないといけません。一方でアメリカを中心とする海外では、非居住者にも納税の義務を課すのが一般的です。

つまり、日本国内に居住し、海外不動産で収入を得た場合は、日本と海外の双方で納税する必要があります。こうした二重課税の負担を軽減すべく、海外に納めた分を還付するのが外国税額控除の狙いです。

所得税が控除の対象になる

外国税額控除の対象になるのは、外国所得税(海外に納めた所得税)です。所得にもさまざまな種類があるため、ケースごとに解説します。

海外不動産投資であれば、不動産を売却した際に発生する譲渡所得が納税の対象です。加えて、現地の人に賃貸した場合、賃料収入も原則として納税義務が発生します。

海外不動産以外にも、外国株式投資の運用に関しても源泉所得税を納めないといけません。外国税額控除を利用すれば、これらの海外で納めた所得税分を還付してもらえる可能性があります。

対象にならない税金に注意

海外に納めた所得税の中にも、外国税額控除の対象にならない種類が存在します。

主に挙げられるのが、非居住者である期間に海外へ納めた所得税です。ここでいう「非居住者」の考え方は、所得税法に基づきます。

所得税法では、居住者を「日本国内に住所を有する」「現在に至るまで日本に1年以上居所がある」と定義しています。一定期間海外に滞在しても、上記の要件を満たす場合は非居住者に該当しません。

外国税額控除の対象にならないケースは、ほかにもいくつか存在します。すべてを網羅するのは難しいため、税理士と相談したうえで手続きしましょう。

外国税額控除における限度額の算定方法

外国税額控除の限度額は、次のように算定されます。

「所得税額 ×(海外所得金額 ÷ 国内外の所得金額)」

例えば、日本に居住するAさんの所得総額は500万円で、そのうち100万円は海外不動産投資によるものとします。所得が500万円の場合、当該年の所得税額は57万2,500円となります。(※1)

上記から実際の数字として、外国税額控除の限度額は11万4,500円です。

【57万2,500 ×(100万 ÷ 500万)= 11万4,500】

つまり、海外で納付した税金分として11万4,500円を上限に57万2,500円から控除できるため、日本に納める所得税額は45万8,000円となります。

なお、海外で収めた税金が11万4,500円より低い場合は、その金額が控除限度額となる点に留意しましょう。

外国税額控除を受けるために必要な手続き

条件に該当しても、外国税額控除を自動的に受けられるわけではありません。還付の対象となるためには、税務署で確定申告と併せた手続きを行う必要があります。

必要書類を集める

まずは手続きに必要な書類をそろえます。

1.           確定申告書

2.           外国税額控除に関する明細書(国税庁から入手可能)

3.           海外に納めた所得税について証明できる書類(所得課税証明書など)(※2)

4.           海外の所得の詳細がわかる書類(※2)

(※2)年間取引報告書でも代用可能

ただし上記の書類以外にも、追加で必要になる場合があります。詳しくは、税理士および税務署に確認しましょう。

確定申告書と併せて報告する

日本に居住しながら海外から収入を得たら、日本でも確定申告をしなければなりません。外国税額控除は、原則として確定申告と同時に提出する必要があります。

窓口や郵送といった提出も可能ですが、マイナンバーカードを持っている方はe-taxが便利です。途中で保存もできるので、スキマ時間を使って少しずつ作成したい方にもおすすめです。

外国税額控除で二重課税を回避しよう

日本に居住しつつ海外への投資でも稼ぎたい人は、二重課税の回避策を検討しなければなりません。国際的な経済活動をしたい方は、外国税額控除が役に立ちます。

一方で、条件が複雑であり、日本居住者でも控除が適用されないケースがあります。自分一人で対応しようとせず、専門家にご相談ください。制度に詳しいアタックス税理士法人国際部が、全力でサポートいたします。

アタックス税理士法人へお気軽にご相談ください

編集者アタックス税理士法人 国際部 編集チーム

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