外国税額控除によくあるお悩み  専門家が徹底解説 | アタックス税理士法人 国際部

外国税額控除によくあるお悩み  専門家が徹底解説

2025年1月31日

外国税額控除とは、国外における所得の二重課税を解決するために設けられている制度です。国際税務は仕組みが複雑なため、具体的にどのような制度か疑問を感じている方も多くみられます。

この記事では、外国税額控除に関してよく寄せられるご相談とその回答をQ&A形式でわかりやすくまとめています。制度の理解を深め、実務に役立てるための参考にしてください。

外国税額控除の疑問を解消し海外ビジネスをスムーズに

外国税額控除に関して、法人の経理財務担当者によくあるお悩みを5つまとめてお答えしました。外国税額控除を正しく理解して、税負担の軽減を図りましょう。

Q1. 外国税額控除の対象となる外国法人税とは?

外国法人税は、法人版の外国所得税のことです。外国法人税とは、外国の法令を基に課税される法人税のうち、法人税法施行令第141条2項で定められた次の内容に当てはまるものを指します。

一 超過利潤税等: 法人の所得のうち、特定の基準を超える部分に対して課される 税金。 一定水準以上の所得に対し、特別に課税されるものです。

二 付加税: 法人の所得、またはその特定の部分に対して課税される税金に、追加して課される 税金。 本来の税額に加えて納付が求められるものです。

三 収入金額等を課税標準とする税(その1): 本来は所得に課税されるものと 同じ税目に属する もの。徴税を簡便にするため、 所得ではなく 収入金額等を基準として課税される 税金です。

四 収入金額等を課税標準とする税(その2)特定の所得 について、所得課税に代わり、収入金額等を基準として課税される 税金。 所得の計算が困難な場合に、代替の手段として用いられます。

五 国内最低課税額に係る税日本国内における最低課税額に関連して、外国で課税される 税金。

ただし、次の税は外国法人税に含まれません。

  • 納税者が納付後、任意に還付請求できる税
  • 納税者が、納付猶予期間を任意に定められる税
  • 複数の税率から、納税者と国・地方公共団体の間で税率が決定された税の一定部分
  • 外国法人税の付帯税その他これに類する税

外国法人税には、多くの取り決めがあります。まずは海外で納付した税金が日本の外国法人税に含まれるかどうか、ご確認ください。

Q2.外国税額控除が適用できないケースはあるのか?

基本的に、Q1.の外国法人税を納付していれば外国税額控除の対象です。ただし例外として、次の場合は適用外とされます。

  • 通常行なう取引と認められない取引(例:外国同士の取引で完結できるものを、敢えて日本法人を間に入れた場合など)
  • 日本の法人税に該当しない外国法人税
  • 外国子会社合算税制適用対象となる外国法人からの配当のうち、益金不算入分に対する外国法人税
  • 租税条約を締結している相手国から課される外国法人税のうち、条約で定められた額を超える税額
  • 税率35%を超える外国法人税

もし判断に迷うケースがあれば、税理士など身近な専門家に相談をしましょう。

Q3. 控除限度額はどのように計算する?

外国税額控除の控除限度額は次の式で算出します。

控除限度額 = 日本の法人税額 ×(国外所得/全世界所得)

「全世界所得」とは、国内だけではなく国外も含めたすべての所得です。日本で納付する法人税額は「実効法人税率」に基づいて計算されます。

【法人Aの事例】

  • 実効法人税率:30%(仮定)
  • 全世界所得:5000万円
  • 国外所得:1000万円

まず、日本で納付する法人税額は「全世界所得 × 実効法人税率 = 1500万円」です。この値と上記の所得額を合わせて式に当てはめると「1500万 ×(1000万/5000万)= 300万円」となります。

法人Aは申告により、外国で納付した法人税のうち300万円までを日本で納付する法人税から控除してもらえます。なお、限度額を超えた場合は、翌年以降3年まで繰り越しが可能です。

Q4.外国税額控除の申告漏れ・誤りがあった場合は?

外国税額控除の申告漏れや申告内容に誤りがあった場合、修正の申告または更正の請求が可能です。以前は更正の請求の対象外でしたが、平成23年度の税制改正により要件が撤廃され、外国税額控除も対象になりました。

修正の申告または更正の請求は次の流れで行います。

  1. 修正申告書または更正の請求書(以下、申告書等)を所轄税務署長に提出
  2. 税務署で内容を調査
  3. 調査で申告書等の内容が正しいと認められれば、修正または更正が適用される

更正の請求ができる期間は「原則として法定申告期限から5年以内」です。修正の申告の期限は定められていません。

税負担を減らすためにも、申告漏れに気づいたら早急に対応した方がよいでしょう。

Q5. みなし外国税額控除とは?

みなし外国税額控除とは、外国で支払い不要とされた税額を納付したとみなし、日本の税額控除対象額に含められる制度です。制度の趣旨は、開発途上国など優遇税制を設けている国への投資にメリットを与えることです。

みなし外国税額控除を活用すれば、そのメリットとして日本国内での納税額が抑えられます。

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外国税額控除は二重課税の解消に役立ちます。海外に子会社を展開していなくとも利用するケースはあるため、経理税務担当者は確認しておきたい制度です。

外国税額控除に関するご相談は、お気軽にアタックス税理士法人までお問い合わせください。Webサイトでは、国際税務に関するさまざまなお役立ち情報を発信しています。

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編集者アタックス税理士法人 国際部 編集チーム

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