外国税額控除と税務調査|備えておくべきポイントや調査に対する心得 | アタックス税理士法人 国際部

外国税額控除と税務調査|備えておくべきポイントや調査に対する心得

2025年3月19日

外国税額控除、御社では適切に対応できていますか?

外国税額控除の仕組みは煩雑なため、計算ミスや制度の理解不足による誤りなど思いがけないことが時折起こります。もし税務調査で控除額が多過ぎたとわかれば、不足分の納税はもちろん、延滞税や加算税も生じるため注意が必要です。

本記事では、海外に子会社や不動産を持つ法人向けに、外国税額控除の税務調査に備えておくべきポイントを解説します。税務調査に備えた準備や対応方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

外国税額控除の基本を簡単におさらい

外国税額控除とは、日本国内に居住している個人または法人が外国で納めた税の一部を、日本国内で払う税額から控除する仕組みです。外国税額控除の目的は、海外と日本で行う納付による二重課税の解消です。

外国税額控除を利用する場合は、法人税の確定申告にて適用します。外国税額控除には毎年、控除限度額が定められています。控除限度額を超えた場合、翌年以降3年まで繰越可能です。

外国税額控除の対象は、外国法人税の一部です。すべて対象とされるわけではない点に注意しましょう。

外国税額控除の対象範囲や適用外のケースを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

税務調査で外国税額控除についてよくある指摘

外国税額控除の申告に不備や誤りがあると、税務調査が入る場合があります。よくある不備は、計算間違いや書類の添付漏れ、記載ミスなどです。ただし、これらの不備は比較的みつけやすいため、申告前のチェックで担当者自身が気づける場合も多いでしょう。

対象にならない税や、租税条約の限度税率を超えた外国法人税のうち35%を超えた部分などを外国税額控除に含めてしまうのも、よくある不備の1つです。

調査結果でミスを指摘されたら再計算が必要

税務調査で外国税額控除の額が誤りとわかったら、調査対象になった年の外国税額控除が再計算されて誤りが是正されます。そのため、控除限度額を超えて繰越が発生している場合は、繰越額に影響が生じる可能性が出ます。

下記の例は、控除限度額が減額したケースです。

  1. 前年の申告書に記載されていた控除額が200万円
  2. 税務調査で実は200万円ではなく120万円が正しい控除限度額だとわかる
  3. 差額の80万円を追加納税することになる

追加納税は、税務署から後日届く納付書で行います。場合によっては差額だけではなく付帯税がかかる可能性もあるため、書類の記載や計算のミスが起きないように日頃から注意しましょう。

税務調査に備えておくべき帳簿や書類

税務調査は、企業が適切な収支管理と正しい納税申告を行っているかどうか調べるのが目的です。したがって、外国税額控除の申請で提出した書類のほかにも、資産の動きに関わる書類や納税申告に関連する書類はすべて残しておく必要があります。

一例として次のような書類が挙げられます。

          書類の種類           具体例
外国税額控除の適用に必要とされる書類・課税証明書
・支払調書
・外国税額控除に関する明細書
収支がわかる書類・レシート
・領収書
・納品書
契約書類・資産の売買契約書
・譲渡契約書
・賃貸借契約書
・ロイヤリティ関連書類
・金銭消費貸借契約書
各種帳簿・現金出納帳
・売掛帳
・仕訳帳

このほかに、決算書類や株主総会・取締役会議事録、就業規定や給与規定なども求められる場合があるため、事前に用意しておきましょう。

税務調査で遡る期間は3年が一般的で、最長は5年です。ただし、悪質な申告漏れや不正の可能性が高いとみられる場合は7年まで遡ります。調査対象期間分の書類は、あらかじめ用意しておきましょう。

外国税額控除への指摘が心配な場合は税理士に相談を

税務調査は、事前の準備が大切です。税務署からお知らせがきたら税理士にすぐ共有し、調査に向けて万全の対策を練りましょう。当日に向けたリハーサルを税理士とともに行うのも有効です。

アタックス税理士法人国際部では、外国税額控除の税務調査に関する相談やセミナーなども行っています。外国税額控除に関するお悩みがある方や詳細を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

編集者アタックス税理士法人 国際部 編集チーム

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