仮想通貨取引を海外取引所で行っている方の中には、所得に対する課税は日本と海外どちらの国にするべきか気になっている方もいるのではないでしょうか。
今回は、仮想通貨の取引を始めて間もない方やこれから始めたいと考えている個人投資家に向け、海外取引所を利用した場合における税金の基本知識を解説します。税金の基本を正しく理解し、確定申告に備えましょう。
仮想通貨の海外取引所とは?国内取引所との違い
仮想通貨の取引は、国内または海外の取引所で行います。国内であれば日本語で利用できるため、仮想通貨取引の初心者でも安心です。一方で、海外の取引所は取り扱える銘柄が多く、少ない投資で大きなリターンも期待できます。
海外取引所は日本国内からでも利用可能ですが、なかには信頼度が不透明な取引所もあります。海外取引所を利用する際は信頼できる取引所か、これまでの実績など事前によく調べてからにしましょう。
仮想通貨を海外取引所で利用した場合における税金の基礎知識
仮想通貨を海外取引所で利用した場合における税金の基礎知識を、以下で解説します。所得税法上の「居住者・永住者・非居住者」自分がどの区分に入るかによって確定申告が必要になるかどうかが変わってきます。
所得税法で定める「永住者・居住者・非居住者」
仮想通貨にかかる税金は、日本の「永住者・居住者・非居住者」によって扱いが異なります。所得税法で定義されている日本の永住者・居住者・非居住者は次のとおりです。
区分 | 定義 | 納税国 |
永住者 | ・日本国籍を持つ居住者 ・過去10年以内に日本国内で住所を有していた、または居住していた期間が5年を超える個人 | 日本 |
居住者 | ・国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人 | 日本 |
非居住者 | ・居住者以外の個人 | 海外取引所であれば現地にて納税義務発生の可能性有 |
永住者や居住者は国内外の取引所にかかわらず、日本での納税義務が発生します。海外転勤や出向など1年以上の予定で日本から出国した場合は、あらかじめ1年未満の国外在留が明らかな場合を除き、原則として所得税法上の非居住者と推定されます。
ただし、非居住者が帰国した場合は帰国時点で居住者となる点に注意が必要です。海外で現地取引所を利用している仮想通貨の利益は、居住者となってから利益確定した場合に日本での納税義務が発生します。
参考:国税庁「No.2010 納税義務者となる個人」
参考:国税庁「No.1935 海外勤務者が帰国したときの確定申告」
確定申告が必要になる要件
日本国内の永住者や居住者が海外取引所を利用して一定の利益が出た場合、納税の義務が課せられます。仮想通貨の利益はすべて「雑所得」として扱います。
確定申告が必要なのは、次に当てはまる方です。
- 雑所得だけで年20万円を超える会社員
- 雑所得とほかの所得を合計して年20万円を超える所得がある会社員
- 給与所得はないが雑所得が48万円(基礎控除)を超える方
この場合の「20万円」とは、仮想通貨の取引で得た額から経費を差し引いた額とされます。
仮想通貨の損益が確定するタイミングは、売却や決済など特定の行動を取ったときです。仮想通貨で損失が出た場合、給与所得や翌年以降の繰越相殺などはできません。
参考:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」
海外取引所の利用時に意識したい税に関する2つのポイント
海外取引所の利用時に税金関連で意識したいポイントが2つあります。
1つめは「海外取引所で行った取引の履歴を保存しておくこと」です。海外取引所のなかには、利用者保護の仕組みが整っていないところや急な倒産で閉鎖するところがあります。取引履歴は確定申告に必要な情報のため、手元に保存しておきましょう。
2つめは「外貨建ての場合は円に換算してから損益計算をしなければならないこと」です。為替レートは、取引をした海外取引所のレートを使用します。海外取引所で円を扱っているところは限られているため、損益計算が煩雑になりがちな点に注意しましょう。
海外取引など国際税務のご相談はアタックス税理士法人へ
日本国内から海外取引所を利用した場合でも、要件をすべて満たせば確定申告の対象です。海外取引所はレバレッジが高く魅力的ですが、日本語サポートがないことが多いためリスクも存在します。
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編集者:アタックス税理士法人 国際部 編集チーム