PEなければ課税なし~原則的な国際課税のルール~ | アタックス税理士法人 国際部

PEなければ課税なし~原則的な国際課税のルール~

2021年10月1日

PEとは

PEとは、恒久的施設(Permanent Establishment)のことをいい、「事業を行う一定の場所等」のことを意味します。国際課税においてPEは、企業が海外で事業を行う際に、その活動から生じる所得が、その進出国の税務当局の課税権に服するか否かを決定する重要な指標になります。

日本の国内法では3つの種類に区分されて定義していますが、具体的には、

①事業の管理を行う場所・支店・事務所等その他事業を行う一定の場所(支店PE)

②非居住者等の国内にある建設、据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供で1年を超えて行う場所(建設PE)

③非居住者の代理人等で、その事業に関し、反復して契約を締結する権限を有し、又は契約締結のために反復して主要な役割を果たす等の一定の者(代理人PE)

があります。

ただし、上記に該当するものであっても、外国法人の事業の遂行にとって準備的・補助的なものである場合にはPEに該当はしません。

原則的な国際課税ルール

国際課税については、「PEなければ課税なし」という基本ルールがあり、原則として、日本国内に非居住者や外国法人のPEがなければ、その非居住者や外国法人の事業所得に課税はできません。また、日本企業が海外に進出した場合にも、PEと認定されなければ、その進出先国での事業所得に課税されることはありません。

例えば、海外に拠点を持たないで、ある国に輸出を行っているだけであればその国で課税されません。駐在員事務所は現地情報の収集等を行っているだけであれば、同様の取扱いをされます。しかし、同じ駐在員事務所でも、実際に営業活動を行っていると判断されるとPE認定され、その国で課税されることもあります。

PEの定義や概念は、各国の税法によって異なりますので、日本の税法上のPEに該当しない場合でも、進出した国ではPEに該当することもあります。

近年の税制改正

PEに関しては、PE認定されない活動だけを行ったり、外国企業等と販売委託契約を結んで活動することでPE認定を回避したりする行為(PE認定の人為的回避)が問題となっており、平成30年の税制改正で、このような租税回避を防止するため、PEの範囲を広げる方向で見直しが行われています。

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