国内源泉所得の源泉徴収と「外国法人等に対する源泉徴収の免除証明書」~免除証明書の有効活用をしましょう~ | アタックス税理士法人 国際部

国内源泉所得の源泉徴収と「外国法人等に対する源泉徴収の免除証明書」~免除証明書の有効活用をしましょう~

2021年10月15日

1.「外国法人等に対する源泉徴収の免除証明書」の制度

外国法人又は非居住者(以下「外国法人等」)に対して、日本国内で源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払いをする者は、源泉徴収義務者として、その支払いの際、原則として、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。

しかし、日本にPE(恒久的施設)を有している外国法人等が源泉免除証明書という書類を支払者に提示した場合、一部の支払いについては源泉徴収の免除を受けることが可能になります。これが、「外国法人等に対する源泉徴収の免除証明書」(以下「免除証明書」)といわれる制度です。

ただし、この免除証明書の交付を受けるためには、外国法人がPEを有していなければならないことと、支払いを受ける国内源泉所得が「対象国内源泉所得」としてそのPEに帰属していなければなりません。

したがって、そもそも国内にPEを有していない外国法人や、PEを有していたとしても国内源泉所得がPEに帰属していない場合には、免除証明書による源泉徴収の免除対象とはなりません。

また、国内源泉所得がPEに帰属しない場合には、通常の外国法人への国内源泉所得の支払いとして、必要に応じて租税条約の適用による源泉税の減免等を検討することになります。

2.制度の背景と主な対象所得

日本国内にPEを有して事業活動を行っている外国法人等は、総合課税の適用を受けるため、日本で確定申告をしなければなりません。この点は、他の内国法人や居住者と同じ状況にあり、源泉徴収の免除対象としても問題ないと考えたのでしょう。

そこで、所定の要件を満たす場合には、外国法人等に対してのみ源泉徴収の対象となっている一定の所得について源泉徴収を免除することで、内国法人や居住者と同じ扱いとなるようにしたものです。

免除証明書制度の対象となる一定の所得としては、以下のものがあります。

  • 人的役務提供事業の対価
  • 不動産の賃貸料等
  • 貸付金の利子
  • 使用料、無形資産の譲渡対価

3.具体的手続について

日本国内にPE(恒久的施設)を有し、一定の要件に該当する外国法人等が、要件を満たしていることにつき納税地の管轄する税務署長から証明書の交付を受け、それを国内源泉所得の支払者に提示した場合に、その証明書が効力を有している期間に支払いを受ける一定の国内源泉所得について源泉徴収が免除されます。

(要件)

  • 「外国普通法人となった旨の届出書」等を提出していること
  • 会社法または民法の規定による外国法人の登記の規定による登記をすべき外国法人にあっては登記を行っていること
  • 源泉徴収の免除規定の適用を受けようとする国内源泉所得が、法人税の課税対象となっていること
  • 偽りその他不正の行為により所得税または法人税を免れたことがないこと
  • 報酬の支払者に証明書を提示する場合には、支払者の氏名または名称およびその住所、事務所、事業所等の所在地、提示した年月日を帳簿に記録することが確実であると見込まれること

お分かりの通り、具体的には、支店等のPEを有する外国法人等がこれらの手続を行います。

また、免除証明書には有効期間が設定されていますので、一度交付を受けた後も証明書の定期的な更新が必要になります。

4.実務上のポイント

このように支払いを受ける外国法人等が国内にPEを有する場合には、源泉徴収が免除される場合がありますので、そういった外国法人等へ支払いが発生する取引を行う場合には、しっかりと事前に確認を行うことが重要です。

免除証明書の提示を受け、証明書の有効期間内かどうかの確認を行い、コピー等を入手し保管しておきましょう。

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