海外(オフショア)生命保険の相続税での取り扱い | アタックス税理士法人 国際部

海外(オフショア)生命保険の相続税での取り扱い

2021年11月15日

海外(オフショア)の生命保険が、日本の生命保険に比べて運用面や保障面でケタ違いに有利であり、加入にあたって日本の保険業法への対応の検討が必要となります。詳細は以下をご参照ください。

https://www.attax.co.jp/kokusai/column/post-1192/

今回はこの海外生命保険の相続税での取り扱いについてお話します。

現行法上、海外生命保険の死亡保障として受け取る保険金は、日本の生命保険と同様にみなし相続財産として他の相続財産と合算して相続税が課されます。

2007年3月31日以前までは、相続税として課税されるのは国内の生命保険のみであり、海外生命保険は相続税の対象ではなく、一時所得(所得税)として課税されていました。当時の相続税は、国内の生命保険だけを想定した税制になっており、日本の居住者が海外の生命保険契約を持つことまで想定しておらず、所得税で課税を手当てしていました。

ご存じの通り、一時所得での課税は、収入額から支出額と50万円を控除した額に2分の1を乗じた金額に所得税率をかけて課税されます。

{(収入額-支出額-50万円)× 1/2 }× 所得税率等

一方で、当時の相続税の最高税率は50%で、2002年12月31日まではなんと70%でしたので、受け取る保険金に対する相続税と一時所得課税では、支払う税金の負担は圧倒的に違いました。従前、海外生命保険が節税手段として利用されたのはこういう理由からでした。

しかし、2007年4月1日以降は、海外生命保険も国内の生命保険と同様に相続税の対象となり、現行法においては国内外の生命保険で取り扱いに差はありません。

国内の生命保険と同様に相続税(現在、最高税率55%)が課され、生命保険控除の適用ができることになっています。

生命保険控除 = 法定相続人の人数 × 500万円

それでも海外生命保険が注目されるのは、やはり国内の生命保険では得られない魅力があるからだと思います。海外生命保険では、運用利回りや担保価値の考え方の差で同じ投資額(保険料)でも国内の生命保険に比べて圧倒的に大きな保障額が取れます。

年齢や性別、健康状態、その人の財産状況によって保険の契約内容は変わりますが、例えば、1億円の支払い保険料で3倍~4倍程度の死亡保障を設定することが可能になります。仮に、4億円の死亡保障が取れたとして、50%の相続税が課されても2億円の手取りが計算できるのであれば、ある程度の納税資金の補填を計算することができます。

相続税法上、みなし相続財産として相続税の対象となっている海外生命保険は、節税手法ではなく投資運用の手法であり、グローバルな投資を行うことができる納税者にとっては今や1つの選択肢なのだと思います。これまで築いてきた財産を増やすことで相続税の課税に対処しているのです。

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