海外出向者の帰任と手当の支給の課税関係はどうなる~手当は給与課税されるの~ | アタックス税理士法人 国際部

海外出向者の帰任と手当の支給の課税関係はどうなる~手当は給与課税されるの~

2022年1月21日

コロナウイルスがなかなか終息しない中、新たにオミクロンの拡大により海外出向者が帰国するケースが見受けられます。今回は、海外出向者が帰国の際に手当を支給した場合の課税関係を検討してみます。

例えばこんなケースを想定して下さい。

 【事例】

海外出向から2月1日に帰国し東京支店勤務となる甲氏に、A社は帰国のための引越し費用等を全て支給し、さらに帰国後の3月1日に子供の入学金や家電製品の購入に充てるための帰国手当を、180万円支給しました。これらの支払いについてどのように税務処理をすればよいでしょうか。

 【税務処理】

A社が甲氏に対して支給した引越し費用等は非課税旅費に該当しますので、旅費交通費として損金経理して、それで課税関係は終了となります。しかしながら帰国手当(180万円)は、法人税法上は甲氏が役員でない限り損金となりますが、一方所得税法上は非課税となる旅費には該当しません。したがって甲氏に対する臨時の給与(賞与)の支給となり、源泉徴収をしなければなりません。また当然に、年末調整はこの金額を含めて行うことになります。

 【解説】

所得税法第9条(非課税所得)第4号では「給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合(途中省路)に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの」と、いわゆる非課税旅費について規定しています。A社が負担した帰国のための引越し費用等はこの非課税旅費に該当します。

しかしながら、子供の入学金や家電購入等に充てるための帰国手当は、通常の旅行に要する費用ではなく、生活のための支出に充てるものであるので、非課税旅費には該当しません。したがって臨時の給与(賞与)の支給とされ、源泉徴収が必要となります。給与課税とねりますので、甲氏の年末調整はこの金額を含めたところですることになります。

みなさんも出向者の帰国に伴い、手当を支給する場合は注意してください。

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