外国子会社合算税制~個人出資されている方は注意!! | アタックス税理士法人 国際部

外国子会社合算税制~個人出資されている方は注意!!

2022年4月22日

外国子会社合算税制に関して、法人と個人で大きく違う事項のひとつは、その税率にあります。

具体的には、

(法人の場合)法人税の実効税率は30%、

(個人の場合)所得税の税率は5%~45%の累進税率(雑所得)となります。さらに地方税が10%程度上乗せされます。

したがって、個人の場合は、外国子会社合算税制により合算された所得に対して15%~55%の税金がかかる事になります。これ以外にも、法人には規定がありますが、個人にはない規定について、解説いたします。

合算対象金額の計算が違います

法人に対する外国子会社合算税制においては、外国関係会社が株式保有をしている場合に、当該外国関係会社の所得に一定の要件を満たす保有株式からの受取配当等が含まれている場合、当該受取配当は合算御対象となる所得の金額から控除され、当該受取配当等は合算課税の対象にはなりません。

これに対し、個人に対する外国子会社合算税制においては、このような取り扱いはなく、外国関係会社が保有する当該要件を満たす株式から得た受取配当等は、所得金額から控除されずに、個人の合算所得金額に含まれる事となります。

外国税額控除の不適用となります

法人に対する外国子会社合算税制においては、合算課税の対象となる外国関係会社の所得に外国法人税が課税されている場合には、二重課税排除のために外国税額控除の適用を受ける事ができます。

これに対し、個人に対する外国子会社合算税制においては、合算課税の対象となる外国関係会社の所得に外国法人税が課税されている場合であっても、外国税額控除の適用を受ける事ができません。

課税済み留保金額の配当に係る二重課税排除制度がありません

法人に対する外国子会社合算税制により日本で課税を受けた外国関係会社の留保利益を原資として支払われた配当に対して日本で課税を行うと、日本において同一の所得に対する二重課税が発生しますが、この二重課税を排除する為、課税済み留保利益を原資とする配当を受けた場合に、当該配当のうち一定の金額を所得から控除する制度が設けられています。

これに対し、個人に対する外国子会社合算税制においては、配当所得の金額から控除できる範囲は、前期以前3年以内に合算課税を受けた金額とされており、二重課税の排除を受けられる過去事業年度の範囲が、制限されています。

このように、外国子会社合算税制において法人と個人では、その課税方法に大きく乖離が見られます。冒頭に記述しましたが、個人の税率は大きいので、外国関係会社への出資をする場合には、十分な検討が必要となります。

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