5月28日朝日新聞に気になる記事がありました。
三菱電機(東京都千代田区)が、新型コロナの影響で一時帰国した海外赴任者に支払った給与をめぐり、東京国税局から所得税の源泉徴収漏れを指摘されていたことがわかった。所得税法は、国内で働いた分の給与は所得税の課税対象と定める。同社は、帰国した従業員が海外の業務を続けていたため、課税対象に当たらないと判断したとみられる。同局の税務調査で発覚し、約1億4千万円を追徴課税された。
関係者によると、同社では新型コロナの感染が広がりつつあった2020年春以降、アジアや欧州などの現地法人に出向していた従業員数百人が一時帰国した。帰国中も現地の会議にリモートワークで参加するなどして海外の業務に携わり、その間の給与は同社が支払っていたという。
リモートで海外業務したら課税されるの?
今回は一時帰国した従業員が日本で現地業務をしていたため、国税局から「日本で働いたら日本で納税しなさい」と指摘された事例です。課税される根拠としては所得税法になります。所得税法は、海外への転勤などで国内の住まいがなくなった人でも(日本非居住者といいます)、国内で働いた分の給与には所得税がかかり、源泉徴収が必要だと定めています。
今回の事例にあてはめると、日本非居住者である従業員が一時帰国中に国内で働いた対価として支払った給与については、会社が源泉徴収する必要があったと判断されたようです。
短期滞在者免税
このようなケースは、コロナ前からあった事例です。海外勤務者(日本非居者)が一時帰国をして日本で勤務していたら源泉徴収が必要になる場合があります。但し短期滞在者免税により課税されない場合も多いですが、今回は該当しなかったようです。短期滞在者免税はこちらで確認して下さい。
https://www.attax.co.jp/kokusai/column/post-2351/
今後の対応
海外勤務者が一時帰国する場合には、日本で勤務する期間があるのか、それとも休暇で来るのかをしっかりと把握しておかないと思わぬ課税をされることが明らかになっています。海外勤務者がいる企業は、今一度確認しておきたい事例です。