例えば、あなたが海外子会社管理の責任者として、「海外子会社の経営状況を会議で報告してほしい」と指示されたらどのように報告しますか。子会社からの業績報告を受けていたとして、目標設定された事項の進捗や月次損益などは報告し易いですが、漠然と「経営」と聞かれた場合はどうしましょうか。
現地国の決算書では日本とは違った勘定科目があったり、金額がマイナスで報告がされたりと分からない事が多くて分析も一苦労ですよね。
今回は、海外子会社の経営管理において、何から手を付けて良いかわからない方に、事前準備から着眼点について解説いたします。
事前準備
- 海外子会社の採用している会計基準は何かを確認する
基本はIFRS(=国際財務報告基準)ではありますが、新興国では違う会計基準を採用する場合もあります。特に現地ローカル会計事務所が作成した決算書では基準と勘定科目について確認したほうが良いでしょう。
- 特殊科目(日本では珍しい科目)の把握をする
現地国での報告様式を確認する事と、使用する勘定科目毎に内容を確認しておくことが必要となります。正しい分析をする為には、勘定科目毎の内容を把握する必要があるからです。
- 翻訳版の決算書を入手する
日本語版の決算書および科目内訳書があると分析しやすくなります。日本語版がなくても、馴染みのある英語版は準備したいものです。
分析する
- 円換算をする
まずは、円換算し数字のイメージを持つことが必要と考えます。千円単位や百万円単位でも結構ですので全体金額の確認をしてください。ご自身が普段扱っている通貨に換算する事で、規模感のイメージをつかむことができます。
- 貸借対照表の全体的な把握
現地国の貸借対照表を把握する場合には、過去(前月・前年)との比較をして、変動の大きい勘定科目と小さい勘定科目を把握し、それぞれの科目内容に照らし合わせて違和感がないかをイメージしてください。普段見ている貸借対照表との差異がある場合には、分析する際に補正したほうが分析しやすい場合もあります。
- 税負担率の確認
最終利益の確認とともに、税負担率を確認してください。税金もコストのひとつと考え、把握しておくべきであると考えます。どんな取引が課税され、課税されないかを把握する事は海外子会社を含めた商流を検討する際に有効になると考えます。また、CFC税制(参考ページ)の適用判定の際にも参考値として利用できます。
- 子会社の利益が赤字の場合
赤字が相当期間続く場合には、根本的な対策が必要と考えられます。現状のまま親会社からの資金援助を続けるか、事業の立て直しや撤退を検討する必要があることを念頭に置きましょう。
海外子会社の決算書は、日本法人の決算書とは構成が違っていることが多くみられるため、経営分析しやすくするためには、決算書の構成を補正したり、日本語や通貨換算したりする事が有効です。
是非、試してみてください。