前回のコラムで、外国人労働者の所得税について解説しました。
今回は、住民税と採用の際に気を付けるポイントをご紹介します。
住民税について
住民税を支払う必要があるのは、1年以上の在留資格を持つ居住者である外国人です(いわゆる居住者)。1月1日時点の住所地に納付する事となります。非居住者である場合は、住所がないとみなされるため住民税を納付する必要はありません。
多くの会社では社員の住民税は、特別徴収となっており、給与天引きするので、住民税を滞納することは少ないですが、普通徴収を選択している場合には、外国人社員が納税をきちんと行っているか注意することを心掛けたほうが良いです。
これは、日本に住んでいるからといって、必ずしも日本の税制を知っているとは限らないからで、たとえ納付書が自宅に送られてきても無視する人もいるからです。住民税を滞納していれば、次回以降の在留資格が更新できなくなります(働けなくなります)。
過去にオーバーワークをしていないか
日本に留学している外国人を雇用する際には、留学生時代にオーバーワークをしていなかったか確認する事が肝要です。
留学生は本来、就労することはできませんが、資格外活動許可を得ることにより、週28時間までのアルバイトが可能となります。しかし、学費や生活費、母国への仕送りを行うために、週28時間を超えてアルバイトをすると、在留資格が取り消される事もあります。以前に比べ最近は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の審査が厳格化しており、
留学生時代のアルバイトの状況について調査することが多くなっており、オーバーワークが発覚する可能性が高くなっています。採用する際には、事実確認し在留資格の取消しリスクがないかどうかを確認しておくことが必要です。
住民税の滞納をしていないか
アルバイトの場合、給与から天引きとはならず、納付通知書が郵送でポストに届く場合もあるため、納付を忘れる(しない)ことが多くあります。採用の際の在留資格変更許可申請では、納税証明書の提示は必要ないため、採用はできますが、在留資格を更新する際には納税証明書の提示が必要となります。住民税を滞納している場合は、在留資格の更新ができません。
入社する際に、住民税を滞納していないか確認するとともに、滞納している場合は支払うことを促してください。
まとめ
■住民税は、居住者には課税されるが、非居住者には課税されない
■採用する際に気を付けるべき税金のポイント
①過去にオーバーワークしていないか
②住民税を滞納していないか
上述の通り、外国人採用を成功させるためには、企業の総務部としては、外国人労働者が日本の制度を守るために必要な知識を伝えておくこと、周知徹底と必要なサポートを行うこと、が必要となります。