法人税等の調査実績の概要
令和2年度はコロナウイルスの影響により調査実績は少なかったですが、令和3年度は新型コロナウイルスの影響を受けつつも、調査件数、申告漏れ所得金額、追徴税額が増加しました。
また、悪質な納税者には厳正な調査を実施する一方で、その他の納税者には簡易な接触を実施して調査を終了しました。皆さんも、簡易調査で終了した調査もあったのではないでしょうか。
法人税・消費税の調査実績
令和3事務年度においては、資料情報と提出された申告書等の分析・検討の結果、法人4万1千件について実地調査がありました。
その結果、申告漏れ所得金額は6,028億円(前年比114%、( )内以下同)、追徴税額は2,307億円(119.2%)、調査1件当たりの追徴税額は5,701千円(73%)となっていました。令和2年度の調査実績は2万5千件でしたので、前年対比で163.2%と大きく増加しました。
海外取引法人等の実績
コロナの中においても増加する輸出入取引や海外投資を行う法人については、課税上の問題点を幅広く把握して法人税や非居住者所得税について厳正な調査を実施していたようです。
その結果、海外取引法人等に係る実地調査としての申告漏れ所得は1,611億円(105.3%)、非居住者等所得に係る実地調査としての申告漏れ所得は31億円(230.5%)でした。
主な事例
- タックスヘイブン
調査法人A社は、軽課税国であるX国に100%出資している外国子会社を有しているにもかかわらず、当該外国子会社について申告を行っていませんでした。国税庁は、現地の登記情報等から外国子会社の実態を確認し、当該外国子会社について外国子会社合算税制を適用すべきところ、適用が漏れていた事実を把握しています。
特に、現地の登記情報まで確認しているという事実はしっかりと認識しておくべきです。
- 借入利子の源泉漏れ
調査法人は、X国の子会社からの借入金に係る利子について、当該借入金の元本に繰り入れており、実際に金銭の支払をしていなかったことから、源泉徴収を行っていませんでした。借入利息の元本繰り入れは、支払ったとみなされるため源泉徴収が必要です。支払っていないという認識は誤りですので、注意が必要です。
これからますます海外取引法人については、実地調査が多くなると想定されます。今一度、自社において調査での海外取引について指摘事項がないかを顧問税理士とよく相談して調査対策を万全なものとして下さい。