非居住者が退職金をもらったら~退職所得の選択分離課税とは~ | アタックス税理士法人 国際部

非居住者が退職金をもらったら~退職所得の選択分離課税とは~

2023年2月24日

日本親会社に勤務した後、海外子会社に出向してそのまま退職し、海外に居住したまま退職金をもらった場合には、20.42%の源泉徴収をされて、日本での課税関係が終了します。

しかし、日本に帰国してから退職金をもらうと、退職金から退職所得控除をした残額に1/2にした金額が退職所得となりその金額に対して所得税が課されます。

参考:国税庁HP 退職所得の計算方法 

通常は退職所得控除があるため、税金は海外居住のまま退職金をもらうよりも有利となり、不公平となります。海外居住でもらう場合と日本に帰国してからもらう場合との不公平感をなくすために「退職所得の選択分離課税」制度があります。今回はこの制度を説明します。

日本非居住者が退職金をもらったら

日本非居住者が日本国内において日本国内源泉所得に該当する退職手当等(例:居住者であった期間に行った勤務等に基因して支払われる退職手当等)の支払を受ける場合には、その退職手当等の金額の20.42%の金額の所得税及び復興特別所得税が源泉徴収され、原則として、この源泉徴収により課税関係が完結します(源泉分離課税方式)。

退職所得の選択分離課税制度とは

日本非居住者が退職手当等について、その支払の基因となった退職(その年中に支払を受ける当該退職手当等が2以上ある場合には、それぞれの退職手当等の支払の基因となった退職)を事由としてその年中に支払を受ける退職手当等の総額について、日本居住者として受けたものとみなして、居住者と同様の所得税の課税を受けることを選択することができます。これを「退職所得の選択課税」といいます。

退職所得の選択課税をうけるには

この「退職所得の選択課税」の適用を受ける場合には、その年の翌年1月1日(同日前に「退職所得の選択課税」の規定の適用を受ける退職手当等の総額が確定した場合には、その確定した日)以後に、一定の事項を記載した「退職所得の選択課税の申告書」を納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。

退職所得の選択課税による「退職所得の選択分離課税の申告書」として専用の用紙はないため、通常の所得税の確定申告書第一表と第三表を利用して作成することになります。

海外で退職金をもらったことがある方は、退職金の課税関係についてぜひとも確認してみてください。

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