富裕層の課税逃れにメス~国外財産申告漏れで52億円~ | アタックス税理士法人 国際部

富裕層の課税逃れにメス~国外財産申告漏れで52億円~

2023年5月15日

関西有数の高級住宅地に住む資産家の50代男性や親族数人が、大阪国税局の税務調査を受け、2020年までの5年間で総額約52億円の申告漏れが指摘されたことが関係者への取材で明らかになった。タックスヘイブン(租税回避地)に設立された会社で、多額の資産を管理し、運用益が過少に申告されていたことも判明した。過少申告加算税を含めた追徴税額は計約18億円に上り、全額が納付されたとされている。国内外に多額の資産を持つ「富裕層」について、国境を越えた巧妙な課税逃れへの監視を強化する中、大阪国税局が富裕層の調査を進める中で、男性らが亡くなった別の親族から台湾にある上場企業の株式を相続し、国内外で多額の資産を保有していることを把握した。株式を含む資産は、親族が設立した資金管理会社に移され、男性らは配当金などを受け取っていたという。また、男性が親族に資産を贈与したにもかかわらず、親族が税務申告をしていなかったことも明らかになった。

2023年4月12日毎日新聞より

かなり大がかりな課税案件となりました。今回の課税については2つの要件で課税されています。

国外転出時課税

国内居住者が、有価証券1億円以上を保有し、海外の親族に贈与や相続をする場合、含み益に課税される「国外転出時課税制度」と呼ばれるルールが適用されます(国外転出時課税制度に関する過去の記事はコチラ)。

男性らにもこのルールが適用されたとみられ、課税逃れを防ぐ目的で導入されたこのルールに基づき、所得税や贈与税を追徴課税した模様です。

タックスヘイブン課税

国税当局は、法人税率の低い国や地域への所得移動による節税を防止する「タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)」の対象にもなると判断し、申告漏れを確認しました。海外の会社が、実態がない(ペーハーカンパニー)とみなされたのかもしれません(タックスヘイブン対策税制に関する過去の記事はコチラ)。

富裕層の税逃れを黙認することは、法の支配の原則に反する行為であり、不正行為として扱われます。税金を逃れることは違法であり、政府は富裕層を含めた全ての市民が公平に貢献することを求めています。ますます、国外財産を有しているまたはこれから海外に出国する人への国税局の対応が厳しくなることが想定されます。

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