国税庁は4月14日、「グローバル・ミニマム課税への対応に関する改正のあらまし」 を公表しました。
これは、令和5年度税制改正で「国際最低課税額に対する法人税等の創設」や、企業に追加的な事務負担が生じることを踏まえ「外国子会社合算税制等(タックスヘイブン)の見直し」が行われたことについて、その改正内容の主要な項目のあらましを紹介する資料となっています。
各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の創設
グローバル・ミニマム課税のルールのうち、所得合算ルールに係る法制化として、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税が創設されました。
この各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税は、グループの全世界での年間総収入金額が7億 5,000 万ユーロ以上の多国籍企業グループを対象にしており、実質ベースの所得除外額を除く所得について国ごとに基準税率 15%以上の課税を確保する目的で、子会社等の所在する軽課税国での税負担が基準税率 15%に至るまで、日本に所在する親会社等に対して上乗せ(トップアップ)課税を行う制度です。
タックスヘイブンは税負担が20%未満でしたが、15%まで引き下げられました。この改正は内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等報告事項等について適用されます。
外国子会社合算税制等の見直し
グローバル・ミニマム課税の導入に伴い、対象企業に追加的な事務負担が生じること等を踏まえ、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等について見直しが行われました。
特定外国関係会社に係る会社単位の合算課税の適用を免除する租税負担割合の基準が 27%以上(現行:30%以上)に引き下げられました。この改正は内国法人の令和6年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。
今後も、グローバル・ミニマム課税について情報を提供する予定で、国税庁HPに 「グローバル・ミニマム課税関係」のページが新たに設けられています。
改正時期の令和6年4月1日とあとわずかで、対象となる企業はグループの全世界での年間総収入金額が7億 5,000 万ユーロ以上の多国籍企業グループおよびタックスヘイブンの判定をしている企業となります。
特に、「国際最低課税額に対する法人税の創設」については、制度設計が複雑であるため、まだまだ税額計算が未確定な部分も多く、必要資料の完備も求められます。国税庁から適宜情報収集しながら実務としての対応が求められます。